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精索静脈瘤

精索静脈瘤とは

精索静脈瘤とは精嚢内の静脈が怒張して瘤状に太くなる状態のことをいいます。精索静脈瘤は、男性の6人に1人に認められるとされ、思春期以降に認めます。また男性不妊症を認める男性に頻度が多いことが知られています。精索静脈瘤の存在は、精子の産生を低下させ精子の質を低下させるため不妊の原因になるとされています。しかしながら精索静脈瘤があってもすべての方の精子の産生が低下するわけではありません。

症状

精索静脈瘤の症状は一般的に無症状で、まれに一日の終わりに増強する疼痛があります。その理由は立位でいると静脈がより怒脹し疼痛が出現するからで、臥位になると怒張が軽減するため痛みは緩和されます。また静脈のうっ滞によって精巣が萎縮する場合があります。

不妊症

精索静脈瘤の存在が不妊症の原因になる場合があります。精索静脈瘤によって血液が滞留することによって精巣の温度が上昇することによって精子の産生や機能が低下するためと考えられています。

原因

精索とは、精巣の動脈、静脈、リンパ管と精管がひとつになって筒状になっている部分のことです。この精索内の静脈は、植物のつるの様に網目構造になっています。この静脈には右は大静脈、左は腎静脈に流入していますが、長い距離を重力に逆らって流れるため静脈内には逆流防止弁がついています。この逆流防止弁が何らかの原因で機能しなくなると、血液が逆流しうっ滞するため静脈瘤となります。

診断

精索静脈瘤の診断は容易で、陰嚢の外観より診断できます。特徴的に怒張した静脈瘤を認めることによって診断でき、それは臥位で縮小し立位で増大します。

治療

精索静脈瘤の治療は必ずしも必要ではありません。しかしながら男性不妊症がある場合や精索静脈瘤が原因と考えられる陰嚢痛がある場合は手術療法を行います。この手術の方法として精巣静脈高位結紮術、腹腔鏡下精巣静脈結紮術、顕微鏡下精巣静脈低位結紮術などがあります。いずれも逆流する精巣静脈を結紮することによって静脈のうっ滞を改善させることを目的とした手術です。

不妊もなく痛みの無い静脈瘤では様子を見ていただきます。軽度の痛みを伴う静脈瘤では、ビキニタイプのぴっちりした下着を着用することによって静脈瘤の圧を除いてあげると痛みが軽減する場合があります。

以上、精索静脈瘤について概説しました。精索静脈瘤を手術したことによって何年も悩んでいた不妊でも、すぐに赤ちゃんを授かったという事例もあります。不妊でお悩みの方は、精液検査も含め陰嚢の検査も必要になります。検査は簡単ですのでまずは泌尿器科を受診してみてください。

<コラム担当> 医師 新村浩明