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尿検査の蛋白について

尿検査の蛋白について

常磐病院地域連携室は2012年4月の発足より4年目に突入いたしました。地域の診療所、病院からの紹介も順調に増加しており、病院としての信頼を失わぬように日々奮闘しております。今回は、検診等で指摘されても無症状であるため、その後放置されやすい尿検査での蛋白について書かせていただきます。

尿に蛋白が混じる理由

健康な人の場合、尿に蛋白はあまりふくまれません。腎臓が血液をろ過して体内の老廃物として尿を排泄するのですが、血中の蛋白質は体内に必要なものであるため、血液に戻される仕組みです。
しかし、腎機能が低下すると蛋白質も尿に混ざってしまい、尿検査でわかるわけです。ですから尿検査にて蛋白質が検出されると腎臓機能の異常が、まず疑われます。
ただし、体内の蛋白質は尿に混ざりやすいこともあり、検査で異常=病気ではありません。風邪の治りかけ、精神的高揚、ストレス、寒さ、運動後等でも尿に蛋白がでることがあり、特に若い世代では尿に蛋白が出た場合でも間をおいてもう一度再検査することをおすすめします。また、プロテイン等高蛋白食品の日常的摂取で尿蛋白が陽性になることがありますので、食事からの影響で出てしまうこともあります。

尿検査の蛋白陽性(+以上)で疑われる病気

腎臓関連

ネフローゼ症候群、急性腎炎、慢性腎炎、腎盂腎炎、腎臓結石、腎硬化症、腎臓がん、糖尿病性腎症、腎不全

泌尿器関連

尿管結石、尿管がん、尿道炎、膀胱結石、膀胱がん、膀胱炎、前立腺がん、前立腺炎

…などが疑われます。
もちろん他の検査も行い総合的に判断がされるわけですが、健康診断や職場健診などで指摘があった場合は他の検査等行われず、当人も自覚症状が無かったりするため放置され、何年も指摘され続けてから専門医受診し、実は腎不全であったり、ネフローゼ症候群であったりすることがあります。ここが腎臓の異常の恐ろしいところで、ほぼ無症状で腎機能は低下するのです。泌尿器科や婦人科関連の異常であれば程度の違いはありますが、症状も出やすく受診に至るのですが、腎機能の低下は静かに進みます。

最後に

皆様には、検診等の尿検査で蛋白がいつも出ていたりした場合、病院での再検査、そのうえで専門医の受診をお勧めします。腎機能の低下は早期の処置が大事になってきます。症状がなくても医師に相談し判断していただいたほうが良いでしょう。

常磐病院 地域医療連携課