ときわ会 常磐病院

消化器内科 GASTROENTEROLOGY

患者さんの負担を緩和する
病変に合わせた適切な処置

常磐病院では、2019年4月より消化器外科・内科で連携を図り、消化管・膵臓・胆道・肝臓など、消化器疾患について幅広く診療を行っています。
2020年9月からは外来でも大腸ポリープ切除を開始しており病変に応じてコールドスネアポリペクトミー(Cold Snare Polypectomy:CSP)やホットスネアポリペクトミー(Hot Snare Polypectomy:HSP)・内視鏡的粘膜切除術(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)・内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)を適切に使い分けています。

SECTION01

主な対応疾患

  • 大腸ポリープ
  • 胃がん
  • 消化器管出血
  • 大腸がん
  • 胃潰瘍
  • 胆管がん
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、腸管ベーチェット病など)

その他、消化器レントゲン検査(胃・大腸)、消化管内視鏡検査も多数行っています

SECTION02

治療内容

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

EMRは患部の下に薬剤を注入して「スネア」と呼ばれる輪っか状の器具に電流を流し、異常が見られる患部を切除する方法です。

1.薬剤を注射

生理食塩水を注射

2.スネアをかぶせる

スネア(輪状のワイヤー)をかぶせる

3.スネアを縮める

通電しながらスネアを縮める

4.切除完了

切除完了と同時に切除組織を回収する

コールドスネアポリペクトミー(Cold Snare Polypectomy:CSP)

CSPはEMRと異なり通電していない状態のスネアを異常が見られる患部にかぶせ、スネアを縮めて切除する方法です。

1.マーキング

スネア(輪状のワイヤー)をかぶせる

2.スネアを縮める

EMRを違い通電せずにスネアをちじ

3.切除完了

切除完了と同時に切除組織を回収する

内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)

ESDはEMRやCSPより大きく病変している患部に対して有効な方法で患部の下に薬剤を注入し切開、専用ナイフを用いて粘膜下層の剥離切除を行う方法です。

1.マーキング

病変の周辺に目印をつける

2.薬剤を注射

薬剤・生理食塩水を注射する

3.切開

マーキングを取り囲むように切開する

4.粘膜下層の剥離

専用ナイフで病変を少しづつ慎重にはぎとる

5.切除完了

ナイフを使って最後まで剥離する

3.止血

表面に止血処置をし、病変部は回収する

内視鏡的逆行性膵胆道造営検査(ERCP)

ERCPは胆管・胆嚢・膵臓などに対する検査・治療で、内視鏡カメラを口から入れて十二指腸まで挿入、造影剤を注入してレントゲン撮影を行います。

内視鏡的乳頭切開術(EST)

ESTは十二指腸乳頭(総胆管の十二指腸への出口)を広げる目的で乳頭部分を内視鏡を通し挿入する電気メスにより切開する処置です。ERCPから継続して行われる処置で総胆管結石治療やステント挿入時に必要となります。

内視鏡件数

(件)
2019年 2020年 2021年 2022年
ポリペク・EMR 49 207 338 457
ESD 12 43 56 72
ERCP 1 3 36 45

当科からの英語論文

・Kowazaki Y, Fukuda H, Saito I et al. A novel method for endoscopic closure of endoscopic submucosal dissection-induced defects in the colorectum: the closure method with an elastic-rubber ring (CMER). Endoscopy. Published online: 8 Sep 2021; DOI: 10.1055/a-1550-2246.

・Fukuda H, Kowazaki Y, Saito I et al. A clip in the right place: successful endoscopic submucosal dissection of a cecal tumor exhibiting the muscle-retracting sign. Endoscopy. Published online: 25 Oct 2021; DOI: 10.1055/a-1656-9340.

・Kowazaki Y, Manolakis A, Fukuda H et al. Optimization of endoloop closure for gastric endoscopic submucosal dissection defects with a bead: the bead, loop, and clips technique. Endoscopy. Published online: 22 Feb 2022; DOI: 10.1055/a-1731-7381.

学会発表

・2021年 福島ESDクラブ 「筋層牽引を伴うIs病変に対し筋層剥離を行い一括切除した一例」

・2021年 日本消化器内視鏡学会総会 「直腸ESD後潰瘍に対する矯正用ゴムを用いた縫縮法の成績」

・2021年 JDDW 「大腸ESD後潰瘍に対する矯正用ゴムを用いた縫縮法の有用性」

・2022年 JDDW「胃ESD後潰瘍に対する留置スネア巾着縫合法の工夫」

SECTION03

担当医師紹介

剛﨑 有加(こわざき ゆか)

剛﨑 有加(こわざき ゆか)

経歴

令和4年 ときわ会常磐病院

保有資格等

  • 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医
  • 日本消化器病学会専門医
  • 日本食道学会食道科認定医・評議員
  • がん治療認定医