全ての泌尿器疾患に最善の診療をお届けできるように

SECTION01

泌尿器科紹介

常磐病院泌尿器科では、5名の常勤医の他、東京女子医科大学、東邦大学、帝京大学、岩手医科大学の各泌尿器科教室のご協力のもと、様々な泌尿器科疾患の治療を最先端の技術で行っています。われわれが目指す泌尿器診療は、いわき市の皆様にも大都市と変わらない高度で安心な医療を提供することです。いわき泌尿器科の開業当時より、この思いを実現させるために多くの取り組みを行ってまいりました。その一つが、県内初の血液型不適合腎移植であり、また腹腔鏡手術やHIFU、ダヴィンチ手術などの最先端治療です。また、以前より尿漏れや子宮脱膀胱脱に代表される女性泌尿器疾患の治療にも積極的に取り組んでいます。

このように常磐病院泌尿器科では、全ての泌尿器疾患に最善の診療をお届けできるように取り組んでいますが、皆様のご希望があれば、前述した各大学病院はもちろんのこと各医療機関に積極的にご紹介しております。医療技術の進歩によって、診断から治療までの選択肢は多岐にわたります。常磐病院泌尿器科では、常に患者様のご希望に添えるようにご相談しながら診療にあたっていますので、ご遠慮なく申し出てください。

SECTION02

手術実績

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023
【腎移植】
生体腎移植術   1 2 4 1 5   5 5 2 5 2 2
【副腎腫瘍】
副腎摘出術
(開腹)
1                        
副腎摘出術
(鏡視下)
  2   1 3 4 3 2 3 6 5 2 3
副腎摘出
(ロボット)
            1       1
【腎腫瘍】
根治的腎摘出術
(開腹)
1 1               2 1
根治的腎摘出術
(鏡視下)
9 13 16 15 20 5   9 13 12 14 2
根治的腎摘出術
(ロボット)
                      8 12
腎部分切除術
(開腹)
2 3   1                  
腎部分切除術
(鏡視下)
    2 1                  
腎部分切除
(ロボット)
    3 9 13 18 17 27 29 30 25 35 25
【腎盂尿管腫瘍】
腎尿管全摘除術
(鏡視下)
7 15 12 16 14 24 20 22 17 12 11 3
腎尿管全摘除術
(ロボット)
18 17
【膀胱腫瘍】
膀胱全摘除術
(開腹)
4 7     1                
膀胱全摘除術
(鏡視下)
    9 10 8 10 7 15 1        
膀胱全摘除術
(ロボット)
                11 24 21 16 8
回腸導管造設術 1 1 2 3 3 4 2 7 4 8 7 7 3
代用膀胱(自排尿型) 1 1 2 2 1 5 2 4 2
尿管皮膚瘻 2 5 5 5 4 6 4 6 3 14 10 9 3
経尿道的膀胱腫瘍切除術
(TUR-BT)
86 119 126 120 155 155 194 167 157 162 193 174 192
【前立腺腫瘍】
前立腺全摘除術 9 1                      
前立腺全摘除術
(鏡視下)
10 17                      
前立腺全摘除術
(ロボット)
  23 64 51 87 82 98 95 113 100 99 91 102
HIFU
(高密度焦点式超音波治療)
41 45 34 20 26 20 12 14
前立腺生検 402 503 460 379 384 398 445 557 469 290 353 194 102
MRI融合前立腺生検 118 248
【精巣腫瘍】
高位精巣摘出術 9 9 11 5 5 9 3 8 3 7 11 7 11
腎盂尿管移行部狭窄症
腎盂形成術
(開腹)
2 1 1 2 1 1
腎盂形成術
(ロボット)
5 10 4
【尿路結石】
体外衝撃波砕石術
(ESWL)
135 140 217 205 227 199 145 127 131 100 120 105 61
経皮的腎、尿管砕石術
(PNL)
10 7 2 7 7 7 12 17 18 19 17 7 5
経尿道的腎、尿管砕石術
(TUL)
59 63 50 79 85 96 83 136 128 180 137 138 216
経尿道的膀胱砕石術 25 26 33 27 15 33 31 43 36 42 26 29 26
【尿失禁/子宮脱・膀胱瘤】
尿失禁手術
(TVT/TOT)
  1   2 4 6 4 8 5 4 3 4 1
子宮脱膀胱瘤手術
(TVM)
      12 18 18 12 5 6 9 4 3
子宮脱膀胱瘤手術
(経腟手術)
6 11 8 5 3       2 1   3 8
仙骨膣固定術
(腹腔鏡下)
                    5
仙骨膣固定術
(ロボット)
                    6 11 18
仙骨神経刺激装置植込術                 2        
ボトックス膀胱壁内注入療法                   10 11 13 6
【前立腺肥大症】
経尿道的前立腺切除術
(TUR-P)
12 12 16 3 17 15 14 9 4 4   2 2
経尿道的前立腺核出術
(HoLEP)
41 76 65 73 43 64 85 100 97 96 90 81 78
尿道ステント 2           5   1 1 1
【腎不全(シャント手術等)】
内シャント、グラフト、
表在化、シャント閉鎖術
213 201 112 182 148 242 203 247 210 228 205 247 242
CAPDカテーテル挿入 5 1 5 5 7 3 2 1 2 3 5 4 2
PTA(シャント) 136 338 684 927 1022 1054 1002 958 934 941 890 885 824
永久留置型アクセス留置術 8 10 15 17 19 31 33 29 41 72 79 108 204
【その他】
副甲状腺摘出 1                        
PEIT
(副甲状腺エタノール注入術)
1                        
内尿道切開術 1 4 2 1   1   9 3 13 16 13 8
包茎手術 11 23 20 14 23 11 20 21 24 27 27 23 29
陰嚢水腫根治術 12 11 6 16 9 4 17 15 18 15 19 15 13
精巣静脈瘤根治術
(鏡視下)
1           2     1   1 1
パイプカット 2 1 2 1 2 1 2 2 1 7   1 4
腎瘻造設術 11 17 13 25 30 15 37 21 22 56 25 43 19
膀胱瘻造設術 47 51 36 25 31 27 21 14 7 10 6 6 7
陰茎異物除去 3 1 4 2 4 1 2 1   1 1
コンジローマ切除 23 19 21 11 23 3 7 3 11 7 8 6 14
その他 168 358 316 275 281 429 458 407 355 524 570 494 620
合計 1,518 2,139 2,375 2,556 2,744 3,001 3,005 3,108 2,891 3,043 3,036 2,935 3,145
  2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023

SECTION03

腹腔鏡下手術

常磐病院では、低侵襲(痛みの少ない)な治療の一つとして腹腔鏡手術を積極的に導入しています。その対象としている疾患は、副腎腫瘍、腎腫瘍、尿管腫瘍、前立腺腫瘍です。腹腔鏡下手術のメリットは、従来の開腹手術と比較し傷が小さいため、痛みが少なく回復が早いことです。そのため入院期間が短く、早期に社会復帰ができます。また、患部を拡大しテレビモニターに映し出し手術しますので、より精密な操作が可能となります。そのため癌の治療において、より確実に摘出することが可能となります。また前立腺摘出術のように、勃起神経を傷つけたくない場合においても、緻密な剥離が可能となりますので、より安全に手術することができます。また止血も確実に行うことができますので、出血量も少ないことが特徴です。

腹腔鏡下手術の長所

  • 傷が小さく痛みが少ない
  • 正確な剥離操作が可能
  • 出血が少ない

しかし腹腔鏡下手術は、この手術を習熟した医師による高い技術が必要で、医師なら誰でもできる手術ではありません。常磐病院では、これまで多くの腹腔鏡下手術を行ってきた東京女子医科大学泌尿器科田邉教授の指導のもと腹腔鏡下手術を行っています。週に1回以上は腹腔鏡手術の専門家が東京女子医科大学泌尿器科より訪れ手術指導を行っていただいており、非常に良好な手術成績を残しています。

SECTION04

腎移植

腎移植とは

腎移植とは腎臓の機能が低下した場合(慢性腎不全)のために、新しい腎臓を移植することによって腎臓の機能を回復させる治療法です。

ときわ会グループでは、これまで23例の腎移植を、東京女子医科大学泌尿器科、および、新潟大学泌尿器科による協力体制のもとで施行しています。
当院では血液型不適合移植や夫婦間移植など、免疫学的に拒絶反応が多く一般に困難とされる移植も実施しています。

慢性腎不全の治療法には、透析治療と腎移植があります。
透析療法には大きく分けて血液透析と腹膜透析がありますが、いずれも時間的制約が大きいことと腎臓の一部分の機能しか果たさないことが問題になっています。
それに対し腎移植では、失われた腎臓の機能がほぼ完全に回復し、また時間に縛られることもなく、食事の制限も比較的ゆるくなります。
そのため、完全な社会復帰が可能となり、長期透析による合併症も回避できることがわかっています。

腎移植の実際

腎移植には、亡くなった方からいただく献腎移植と、ご家族からいただく生体腎移植があります。
我が国の現状では献腎移植は少ないため、腎移植の多くは生体腎移植が占めています。
いわき泌尿器科病院でも、これまでの全例が生体腎移植でした。

移植された腎臓はご家族から提供されたものであっても他人のものなので、体の中で免疫というシステムによって移植腎を排除しようとします。
これを拒絶反応といいます。

拒絶反応により移植腎が破壊され機能しなくなってしまうので、免疫抑制剤で拒絶反応を抑える必要があります。
そのため移植腎が機能している間は、免疫抑制剤を内服します。

免疫抑制剤を内服していても拒絶反応を抑えきれず、移植腎が機能しなくなってしまう場合があります。

しかし最近では新しい免疫抑制剤が開発され、拒絶反応の治療法が改善されているので、以前と比較すると腎臓のもちはますます良くなっています。
移植してから5年以上機能している人の割合は約90%を超えています。
もちろんそれ以上長く腎臓が働いている人もたくさんいますし、移植後30年以上機能している方もおられます。

腎臓の位置(提供者) 腎臓移植(腸骨窩といわれる骨盤内に腎臓は移植されます)

当グループでは、血液型が異なるいわゆる血液型不適合移植も行なっています。
血液型を間違えて輸血すると大変なことになるのと同じように、血液型が異なる腎移植は 激しい拒絶反応のため、かつては移植できないとされていました。
しかしながら有効な免疫抑制剤の出現と手術前の血液型抗体の除去により、現在では移植が可能となっています。
もちろんそのためには移植前後の厳重な管理が重要です。
われわれは新潟大学泌尿器科、東京女子医科大学泌尿器科の経験豊富なスタッフとの合同チームで、血液型不適合移植を行っています。

SECTION05

ダヴィンチ手術

ダヴィンチシステムによるロボット支援前立腺がん手術

常磐病院では2012年8月より前立腺がん治療において手術支援ロボット「ダヴィンチS (da Vinci Surgical System)」(米国Intuitive Sugical社)を導入いたしました。本装置を導入したことにより、前立腺がん手術において、これまで以上に正確な手術が行えるようになり、より体の負担が少なく、かつより合併症の少ない手術ができるようになりました。ダヴィンチシステムによる手術にあたっては、前立腺がん治療では第一線でご活躍の東京女子医科大学泌尿器科田邉一成教授の全面的な指導のもと実施いたします。福島県初となるダヴィンチシステムの導入により、いわき市においても国内最先端の前立腺がん治療が受けられるようになりました。

前立腺がんとは

前立腺がんは、近年その罹患率が増加しており、中高年の男性において注意すべき前立腺の病気のひとつです。前立腺がんの発生には男性ホルモンが関与しており、ほかの臓器のがんとは異なりゆっくりと進行するものが多いことが特徴です。また血液中のPSA(前立腺特異抗原)を測定することにより、前立腺がんの存在をスクリーニングすることができ、血液検査が有効であるがんのひとつです。初期には自覚症状がほとんどないため、排尿障害など症状がでてから診断されると、骨などに転移し進行している場合もあります。PSA検査により、早期に発見し、適切な治療を行うことが大切になります。

ダヴィンチシステムとは

米国で開発された手術支援ロボットです。ロボットを介して手術することにより、より鮮明な画像でより緻密な手術ができる特徴を有しています。ダヴィンチシステムは、サージョンコンソールと呼ばれる操作部とペイシェントカートと呼ばれるロボットアーム部、ビジョンカートと呼ばれるモニター部の3つの部分から構成されます。前立腺がん手術では、腹部に6か所の5から12mmの穴をあけ、そこから3Dカメラとロボットアームを挿入し、サージョンコンソールに座った術者が3D画像を見ながら手術をすることになります。米国では前立腺がん手術の8割以上がダヴィンチシステムとなっており、米国で約1600台、ヨーロッパで約400台、その他の国で約250台ものダヴィンチシステムが稼働しています。

ダヴィンチシステムの特徴

3Dハイビジョン画像

術者は立体画像下で手術を行なうことができます。また、720pのハイビジョンにより組織面や重要な解剖を細部まで映し出します。さらに、デジタルズーム機能により、より細かな臓器の状態を見ることができます。

自然な操作感(Intuitive Motion)手ぶれ防止機構

サージョンコンソールは、術者の指の動きとインストゥルメント(鉗子)を連動させ、直感的な動作を実現します。また、微細な手ぶれを除去しつつ、手指の動きを縮小して伝達するので、細かなかつ複雑な動きにも対応しています。

大きな可動域のある鉗子

ロボットアームに接続されるEndoWristインストゥルメントは、人間の手と同等以上の可動域を持っています。そのため、通常の開腹手術や腹腔鏡下手術では不可能な複雑な動きも可能となり、より緻密で正確な手術を可能としています。

ダヴィンチシステムによるロボット支援前立腺がん手術

従来の開腹前立腺がん手術では、前立腺が骨盤の奥の臓器であるため、手術が難しい術式のひとつでした。また前立腺の周囲には太い静脈が走行しているため、出血量の多さも問題となっており、さらに、術後の尿失禁や勃起不全(ED)の発生も大きな課題でした。
その後、前立腺がんの低侵襲手術として腹腔鏡下前立腺全摘が導入され、常磐病院でも行ってまいりました。開腹手術と比較し、傷が小さく、出血が少ない利点がある半面、操作の習熟に非常に時間がかかる欠点もありました。
ダヴィンチシステムによるロボット支援前立腺がん手術では、前述した特徴により、これらの従来の手術の欠点を補うことができる手術法です。3D画像をみながら、手ぶれ防止機構のついた可動域の大きいロボット鉗子で手術することにより、より安全に、より正確に、より合併症の少ない手術を行うことができるようになりました。出血量は開腹手術の10~100分の1となり、3D拡大画像で勃起神経をより精密に温存することで、勃起不全予防ができるようになりました。また同様に尿道膀胱吻合も、大きな可動域のあるロボット鉗子で正確に吻合することによって、尿失禁の低減につながります。もちろん前立腺がんの摘出という手術本来の目的も、臓器を正確に拡大してみながら手術することにより、確実にがんの摘出を行うことができるようになっています。

ダヴィンチシステムによる緻密な動きのデモンストレーション(折り鶴)

ダヴィンチシステムに関するお問い合わせ

常磐病院では「ダヴィンチシステムによるロボット支援前立腺がん手術」をご希望される方の受診を随時受け付けております。
担当医師:新村浩明
〒972-8322
福島県いわき市常磐上湯長谷町上ノ台57番地
公益財団法人ときわ会 常磐病院
TEL:0246-81-5522 FAX:0246-81-5577
メールアドレス:info@tokiwa.or.jp

SECTION06

女性泌尿器科外来

泌尿器科は「男性が受診する診療科、男性の疾患だけを扱っている」と思われがちですが、女性特有の疾患もたくさんあります。
尿もれ、残尿感、頻尿、陰部にピンポン球のようなものが触れる…など。誰にも言えず一人で悩んでいませんか?外出するのがイヤになっていませんか? 女性が気兼ねなく受診できるよう、女性医師による女性のための泌尿器科外来を開設いたしました。

このような症状があるときはぜひご相談下さい

  • 咳やくしゃみをした時に尿がもれる
  • 急に尿意をもよおしトイレが間に合わない
  • 陰部にピンポン球のようなものが触れる、何か出ている
  • 歩行時などに何か股に挟まっているような感じがする
  • 尿の出が悪くスッキリしない
  • 尿がたまると下腹部の違和感が強い、痛い
    など

原因をしっかり調べて治療を行いましょう。患者さまの状態に合わせて、体操、内服加療、必要な場合には手術治療も行います。

女性泌尿器科外来で扱う疾患

  • 尿失禁(腹圧性、切迫性、混合性)
  • 頻尿、過活動膀胱
  • 骨盤臓器脱
  • 間質性膀胱炎

診療日時

完全予約制です。再診の患者さまも予約を取ってお越しください。

予約される方は電話にて「女性泌尿器科外来の予約」とお申し付けください。
TEL:0246-81-5522