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2014年09月10日
こんにちは、作業療法士の遠藤です。
みなさんにとって大切な作業は何ですか?
その作業を行いたいと思うときはどんな時ですか?
苑内に習字やちぎり絵など利用者様の作品を展示する掲示板があります。
その中に『今月の詩(うた)』と題し、その月に合った俳句や短歌が展示されています。
俳句や短歌、川柳など詩を詠むことが好きなAさんの作品です。
「詩を詠む」という作業を行うために、掲示板に展示することをAさんと考えました。
Aさんが詠む詩は、面白いものであったり、ホロリとくるものであったり…
利用者様や職員の中には、新しい詩が展示されることを楽しみにしている方もいるくらいに素敵な作品を詠まれています。
普段はホールで何もせず、うつむいて過ごすことの多いAさんですが、
詩を詠んでいる時のAさんの表情は明るく、声も活き活きしています。
しかし、Aさんは「詩を詠む」という作業に達成感や満足感を言葉や態度で示しつつも、
詩を詠むことに職員からの働きかけが必要であることが多くありました。
Aさん自身の意志で作業が行えているのか?
「詩を詠む」という作業はどのような意味を持っているのか?
作業が可能になったようで、実は、違っていたかもしれない?
そんな疑問が生じました。
Aさんは、どんな時に自分から詩を詠んでいたのか?
畑の野菜を見た後、苑内の行事の後、季節の事柄…
Aさんが、季節を感じる出来事や楽しいことに出会えた時が
詩を詠むときだったと気が付きました。
行事への参加の機会、楽しみや季節を感じることができる関わりを持つこと、
それが、Aさんの「詩を詠む」という作業を可能にする支援なのかもしれません。
「作業をしたい」という思いがあるからこそ、人は作業を行います。
その思いが引き起こされること、
そして、その時に作業が行えること、
それが、作業を可能にするための一歩なのだと思います。