ときわ会HOME > すまいりすと
昭和47年生まれ、今年35歳。いわき市湯本の出身、高校を卒業するまでは地元の街からほとんど出る機会のないまま過ごしました。中学時代にはバレーボール、センターでクイックを担当。サッカー選手のように脚が太くて、仲間たちからはバレーボール向きの体型ではないと云われていました。
高校卒業に際して、普通の大学進学ではなく、専門性のある分野を目指したいと考えましたね。そんななか、同級生のひとりが「こういう職業があるらしいよ」と、臨床工学技士という国家資格のことを教えてくれたのです。そして専門学校を見学するため、その友人と一緒に、いざ東京に。
自分は日本工学院専門学校への進学を決めました。一緒に行こうと誘ってくれたその友人は、結局別の道を歩むことに…。人生、面白いなぁと感じます。
コメディカルと呼ばれる職種のひとつである、臨床工学技士。医師の指示のもとで「生命維持管理装置の操作及び保守点検を行なうこと」を仕事とする医療機器のスペシャリストです。その制度の誕生は比較的新しく、国家資格として1987年に制定されました。医療機器を用いたチーム医療の一員として、医師をはじめ、看護師などとともに患者さんの生命維持をサポートすることが、自分たちの使命です。
病院で働く場合だと人工透析や呼吸器、人工心肺装置などの機器を担当するほか、院内にある様々な医療機器をマネジメントします。
資格の取得後、臨床工学技士としてのキャリアは今年で14年。いわき泌尿器科の臨床工学部には現在14人、ときわ会全体では17人。自分よりも経験が長い先輩と一緒に仕事をしています。
専門学校での3年間の勉強を経て、国家資格の取得と同時に就職したある総合病院。そこでは、自分ひとりしか臨床工学技士がいないという状況でした。
最初は事務所部門に配属、物品管理が中心の業務。なにかが違うのではという、自分の内なる違和感。新卒一年目の春、早くも今後についての悩みに包まれたある日、ドクターが声をかけてくれて、救急医療センターでの仕事が始まることに。
資料や本を調べたり、医師のみなさんに指導してもらったり。集中治療室や救急外来、急性血液浄化、呼吸器やモニターの準備、時には患者の搬送など…。試行錯誤とも云える様々なトライアルが続きました。
数年を経た頃、充実した透析治療や腎臓移植の高い実績についてなど、いわき泌尿器科のことを良く知る救急医療センター長からの助言を得て、自分のなかでのチャレンジ精神が熱くなるのを感じました。
学校からの卒業時点ではあまり接点のなかった、維持透析という分野での仕事に改めて挑んでみたい。そう決意、2001年2月、ときわ会に転職しました。
当時のときわ会いわき泌尿器科は職員数も今より少なく、忙しいというのが第一印象。同時に、スタッフのみんなが仕事をテキパキとこなす様子に、若々しい活気を覚えましたね。
現在、透析関連の職務がメイン。透析というのは、その種類や条件にもさまざまなバリエーションがあって、やればやるほどその幅広さを実感しますね。
そして昨年新たに導入されたHIFU(限局性前立腺がんに対する高密度焦点式超音波治療)を、新村医師や渡辺医師のもとで担当しています。
臨床工学技士の仕事というのは、当たり前に動くべきシステムが日々当たり前に働くようにする仕事が大切です。例えば、透析の機械を接続してきちんと透析液が流れるための管理。自分たちが担うのは患者さんの生命を縁の下で支える役割、そう云えるかもしれません。
当院で泌尿器科を担当する新村医師の提唱によって導入された、最新治療HIFU(限局性前立腺がんに対する高密度焦点式超音波治療)。福島県内では1番、東北地域で2番目の導入、全国的にも現在35の医療施設のみで実施されている、最先端の治療法です。
切らずに直せる。この治療法によって、さらに安全な前立腺がんの治療を提供できるようになりました。
プライミングと呼ばれる機械のセッティングや術中の画像モニタリングなど、テクニカルな側面からのサポート。HIFU治療において医師による手技が最高に発揮されるためには、自分たち技士のスキルも大切と云われ、その導入にあたっては、原理の勉強や機器に習熟するためのトレーニングを積み重ねました。
2006年6月の導入から現時点で計33例、おそらく首都圏より北のエリアではトップの件数ではないでしょうか。さらに7月まで予約が入っている現在の状態は、この最新治療を必要としておられる患者さんが、それだけ大勢いらっしゃるということの反映だと思います。
HIFUの高いポテンシャリティや将来性、当院はフロンティアとしてそれらを究めていくことができるのではないか、そう思います。
全国の導入施設のなかでも屈指の実績、そして当院の先進性に、臨床工学技士としての立場から携わることができることをとても誇らしく感じています。
2005年9月、東京女子医科大学泌尿器科からときわ会に転任してこられた、新村医師。彼の出現のインパクトは実に大きいと思います。
着任に際しての会議の場で、未来に向けた変革を実現して行こうと語る新村医師のメッセージに、ときわ会への熱い想いが、それはもうひしひしと伝わってきました。これからが面白くなりそうだ、と。
飲みに行くと、非常にハジケたパーソナリティです、ね。(笑)HIFUの導入によって、自分自身としては近い距離感で接することができるようになりました。
まだ一年半ほどの期間ですが、院内業務のあらゆる面に、様々な変化が芽生えてきているのを実感しています。
ときわ会への就職以前に勤務していた総合病院では、患者さんと言葉を交わす機会が、ほとんどありませんでした。それが現在、透析をはじめとして多くの患者さんとのコミュニケーションが日常的にはかれるようになったことを、とてもうれしく感じています。
「今日も1日ありがとう、痛くなかったですよ」。患者さんからそんな感謝のお言葉をもらうことができるのが、(技士だからこその感じ方かもしれませんが)一番うれしいです、ね。
若いスタッフが多く、とても面白い職場だと思います。
医療サービスの提供にあたり、臨床工学技士のスペシャルティが大切だという理解のもと、調査や勉強、新しいテーマについての提案を受け止めてくれる空気、そうした土壌が当院にはあります。
新たな展開に対応する観点からの人材強化が必要で、HIFUを担当できる技士は現在3人体制となりました。今春もさらに4名の技士が入り、ときわ会全体としては20名を超える予定です。これほど技士陣が充実した医療施設は珍しいのではないでしょうか。
今後私たちが歩みを遂げていくなか、透析以外の分野でも、臨床工学技士という存在の重要性はますます高まりをみせる、そう感じています。新卒の技士はもちろんですが、(自分のように)他の医療施設での仕事を経験したことのある人間は、特にそうした意義を当会で実感できるのではないかと思います。
やる気のある技士、そして未来のスペシャリストのみなさん。ぜひ私たちの門をノックしてください。明日の仲間として、楽しみに待っています。
いろんなことをやってみたい、様々なことを経験したいと考える自分の想いを、登山に例えるならば…。
唯一の最高峰である富士山を頂点まで登りつめるよりも、連なるアルプスの山々に挑みたい。そんな生き方が、自分の夢です。