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今から21年前、当院(泉中央クリニック)の開設から1年ほどたった頃でしょうか。前任の院長にかわってクリニックの運営をお願いしたいというお話を頂戴したのです。
当時私は福島県立大野病院に勤務しており、その時点では常盤理事長ご本人との面識もなかったので、どうしたものかと迷いました。でも、もともと前職の病院勤務そのものについて、ちょうど10年という区切りを迎えていた時期でもあり、ある製薬メーカーに勤務する中学生時代以来の知人や、私がお世話になっていた東邦大学の教授からのお薦めなどもあり、お受けすることを決意しました。
県立病院に勤務する医師から、開院まもないクリニックの院長という立場へ…。決して小さくない転進ではあったのですが、今から想えば、シンクロニシティとでもいうのでしょうか。自分自身にとってまさに符合するタイミングで、みんなから口説いていただいたということなのでしょうね。
初めてお会いした常盤理事長。非常に誠実な方という第一印象が今も強く残っています。
もちろん今でも非常に精力的でいらっしゃるのですが、当時から実にエネルギッシュでしたね。そもそも当院自体、ときわ会の創立からわずか4年強で開院を実現なさったわけですから。
そして職員をはじめとする周囲の人間全員を、常盤理事長ならではの情熱で徹底的に大切になさいますね。家族愛とさえ呼べるほどの強い愛情です。ただ仕事の面では厳しくお叱りになりますよ、怖がられるくらいに(笑)。
誠実、エネルギッシュ、そして素晴らしいスポーツマンシップに溢れたお人柄です。
新任の院長として着任した泉中央クリニックは、三瓶(さんぺい)看護師長をはじめとしてスタッフ陣に優秀なベテランが多く、少人数ながら効率的な運営のもと、実に落ち着いた雰囲気でした。それは現在までずっと続いている、当院の特徴だと思います。
ときわ会のサテライトクリニックとして実践すべき医療理念や運営方針、また同時にひとつの医療機関として発揮されるべき独自色。その両面のテーマのなかで、常盤理事長は当クリニックの運営のすべてを任せてきてくれています。一旦任せると約束したら本当に口を出さない、それはなかなかたやすいことではないと思います。
常盤理事長が振り向けてくださる強い信頼、その「絆」があってこそ、私自身は院長としての任を20年以上にわたって果たしてくることができたのだと感じています。
もともと外科を専門分野とする私にとって、着任した最初の頃は当院のスタッフたちに叱られるといったこともしばしばでした。腎疾患や人工透析の実際について、私自身よりも精通したエキスパートが現場にいるわけですから…。
でもそうした彼らの存在に支えられつつ、ある意味ではやりやすいとも云える環境で、私自身は院長としての医療に専心することができた、そう思うのです。
逆に(当院のメンバーから)ほめられたという経験ですか?…あまり記憶にありませんね(笑)。
現在67歳、生まれは樺太です。3歳までいた極寒の地はとにかく寒さが厳しく、非常に雪深かったことを覚えています。そのあと北海道へ。北見や岩内を経て、仙台で育ちました。
大学生時代には馬術をやっていました。障害飛越(しょうがいひえつ)といって、障害が設けられたコースを馬に乗って飛び越えながら進む競技です。
馬そのものが優秀であることが望ましいのはもちろんですが、日々調教をしたり実際に乗って競技をする、人間との協働がとても重要です。
「師」に恵まれてきたということを、私自身、医者として幸せだと感じているのですが、この馬術競技の本質とも、どこか通じるような気がします。
オールマイティとまでは云いませんが、頭のてっぺんから足先まで、ひとの体について、少なくともひととおり全身どこでも診る(タッチする)ことができる。そうした教育を受けてきたことは、医療人のひとりである私の誇りです。
そしてまた、スタッフをはじめとする後進たちに対しても、できるならばそうした広い視点で医療に向き合うことのできるような育て方をしてくことができればと、私自身は願っています。
泉という土地柄、…そうですね。もともと城下町だったということもあってか、落ち着いた雰囲気の街だと思います。また小名浜への入り口拠点として、泉駅の周辺などは随分と開発が進められたようです。
ただ昨今の景気の影響なのでしょうか。泉の地域性においても、経済面では良いことばかりというわけではありません。例えば病気にかかって一定期間の治療や入院が必要な場合でも、(雇用が心配で)仕事を長く離れるわけにはいかないという事情をお話しになる患者さんもおられます。
あと土地柄とは直接関係のない話題ですが、犬を庭などで放し飼いにしておられるご家庭がかなりあるようで、ご自分が飼っている犬に咬まれたといってお越しになるケースがつい先日もありました。「飼い犬に咬まれてしまった」と、ご本人は嘆いておられましたが…。
当院にとって、「地元密着」という医療姿勢はとても大切だと思います。そして地元密着というテーマについて私流の視点は、「自然体」ということに尽きると考えています。
広く云われているように、医療の崩壊とも呼ぶべき状況が全国的に起こっている昨今、ときわ会が現在すすめている新病院の誕生に向けては、ときわ会だからこその高い専門性をさらに発揮できる医療機関としての姿を実現してほしいと願っています。
そうしたミッションを未来に向けて果たし続けるためにも、ドクターや看護師、事務職までを含めて、質の高い人材の確保と育成がますます重要なテーマになると思います。
さらには託児所や保育所、学校といった、次世代を担う人材育成という理想の実現に向かって、常盤理事長ならではの熱い志、そして徹底した目配りや行き届きを、今後もぜひ心から期したいと思っています。
広く世界じゅうの遺跡を巡って旅をしたいですね、私のグローバルな夢です(笑)。