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すまいりすとすまいりすと

今月の「輝き!すまいりすと」Vol.32 2009年6月
鯨岡栄一郎(くじらおかえいいちろう)小名浜ときわ苑 理学療法士 - ご本人の価値観や人生観にまで向き合いながらのリハビリテーション。それが私たちの重要な使命のひとつです -

台湾から日本へ鯨文化との接点!?

ときわ会が運営する介護老人保健施設小名浜ときわ苑の理学療法士として仕事をしています。同時に、リハビリテーション部の部門長を務めています。

鯨岡という苗字、きっと全国的にも珍しい名前だと思いますが、いわき市には同姓のひとが時々います。市内にある町の地名でもあるんですよ。そういえば地元の人気水族館アクアマリンふくしまも、施設外観のモチーフは鯨。地元文化との接点がある名前なのかもしれませんね(笑)。

セラピストという仕事

主に入所のご利用者に加え、通所や訪問によって、様々な原因で身体機能に障害が生じた方々に対する訓練や治療など、できるかぎり元の状態に近づくためのリハビリテーションを行なっています。

廃用性症候群といって、あまり使わないことで身体の機能が衰えるというケースが多いんです。トレーニングをすることによって、歩くことや身の回りのことなど、もともと備わっていた能力を再度取り戻すという機能回復のための取り組みを行ないます。

療法士(セラピスト)という仕事には、主に歩行や起居動作などの基本動作能力や筋力の回復などの訓練を中心とする理学療法(Physical Therapy)、作業的手段を用いた手指や上肢の機能回復訓練、着替えやトイレ動作など日常生活動作ついての訓練を行う作業療法(Occupational Therapy)、そして言葉や聴覚を専門的に訓練する言語療法(Speech and language Therapy)といった分野があります。

私どものような介護老人保健施設のほか、病院などの医療施設、小児施設、プロ野球やサッカーなどスポーツ関係の場でトレーナーとして働く療法士もいます。

現在当苑では計8名の専門スタッフによって構成されるリハビリテーション部を中心に、ご利用者のニーズに合わせたリハビリテーションに積極的に取り組んでいます。

ひととは違うことをやりたい

高校2年生の頃、将来の進路を決めるのにあたって、一般的な大学への進学ではなく、何かひととは違うことをやりたいという想いが強く、色々と方向性を探るなかで、リハビリ関係の仕事があることを知ったのです。現在と比較するとずっとなり手が少ない専門分野として、そのやりがいにとても惹かれました。

高校卒業後、群馬県前橋市にある群馬大学付属医療技術短期大学(現:群馬大学医学部保健学科)に進学、国家試験を受験して資格を取得しました。

いわき市内にある別の医療機関に勤務の後、小名浜ときわ苑の開設準備段階から参加し、現在に至ります。理学療法士としてのキャリアは約15年、どちらかといえばベテランのひとりということになると思います。

プレイングマネージャー

リハビリテーションというのはとてもやりがいのある仕事です。が同時に、短期間では劇的な回復が得られないケースが多いのも事実です。ご本人やご家族と一緒に目標を定めて実施する継続的なトレーニング。長期間にわたる取り組みについての意思疎通が非常に重要です。

また当苑のスタッフと連携しながら、みんなが一体になって、ご利用のみなさまおひとりおひとりに向けた取り組みを展開していますので、チームワークとして得られる充実感も実に大きいですね。

部門長という立場からは、リハビリテーションの仕事そのものとともに、リーダーとしての役割が求められています。その意味で、優秀なスタッフのみなさんに日々助けられているというのが実感です。とても感謝しています。

ご本人の価値観に向き合うリハビリ

様々な要素のなか、その方なりの回復をご本人やご家族と共有できた瞬間の喜びはとても大きいですね。

さらにいうと、麻痺が改善して、起き上がったり歩いたりすることができるようになるといったケースでなくとも、その身体的状態のもと、ご自身でできることが徐々にふえていく。そうした回復をご本人やご家族に喜んでいただけるというのが、本当にうれしいやりがいだと感じます。

できないことを嘆いたり悲しんだりするのではなく、できるようになるひとつひとつのことを喜びだと感じる視点をご本人と共有すること。ある意味ではご本人の価値観や人生観にまで向き合いながらのリハビリテーション。それが私たちの重要な使命のひとつです。

コーチング

2年ほど前からコーチングというテーマに興味を持つようになりました。ビジネス社会全体のなかで注目されるようになってきたコーチングを、医療や福祉の世界にも応用することができればと考えて、勉強を重ねています。

単に職位によって指示命令するだけではなく、相手のもっている能力を引き出すというコミュニケーションのあり方。ビジネスにおけるマネジメントにとどまらず、教育あるいは子育てなどの分野においても、そうした考え方が広く関心を集めています。

私自身がコーチングを受けるのと同時に、資格(生涯学習開発財団認定コーチ)を取得して、パーソナルコーチングやセミナーの講師などの活動に取り組んでいます。5月からいわき市内で開催されている医療福祉分野のコーチングセミナーには、ときわ会のメンバーも受講生として大勢参加してくれています。

自分にとっての勉強としてのみならず、今後はこれまでの研鑽のアウトプットとして、ときわ会の活動そのものに幅広く役立てていくことができればと願っています。

楽器が弾けないという思い込み

中学・高校時代、音楽に目覚めてハードロックやヘヴィメタルを聴くようになりました。モトリークルーやラット(注:ともに80年代に活躍したアメリカの人気グループ)をはじめとする洋楽や、ラウドネスなど日本のロックバンドの曲を夢中で聴きましたね。

ただなぜだか、自分には楽器を弾くことができないという思い込みがどこかにあって、当時結成したアマチュアバンドでも、楽器は担当せずにヴォーカルをやっていました(笑)。

大学時代にヒップホップのムーヴメントと出会い、いわきに戻ってからは地元の仲間たちと一緒にチームを組んで、ラップの音楽活動を仕事と並行して本格的に行ないました。渋谷や郡山などのクラブでイベントに出演したり、活動のピーク時には新宿のリキッドルーム(プロのアーティストも多数出演するライヴハウス)でプレイした経験があります。

ライヴ・パフォーマンスというのでしょうか、人前で演奏する緊張感や高揚感が大好きなんです。ときわ会の職員のなかにも、私のそうした頃の活動について知ってくれているひとが何人もいて、「え、あの時の!」と思い出してくれたりするんですよ。

ところでこのたび、ときわ会の職場メンバーで構成される音楽グループに参加させていただくことになりました。中学生時代以来実に20年近くもの間抱き続けた、"楽器が弾けない"という思い込みを捨て、自分にとって生まれて初めてとなる楽器、ベースギターを手にして。まさに電撃加入です!(笑)

近い将来、本を書いてみたいですね。それと、コーチングのスキルアップをして、みんながもっともっと元気になるような組織作りや職場作りに貢献すること。

そしてできるだけ早くベースを弾けるようになって、ぜひバンドでライヴに出てみたいです。もちろんCDも出したいですね!