ときわ会HOME > すまいりすと
岩手県の北部、青森との県境に近い軽米(かるまい)という町の出身です。地元の高校を卒業後、仙台にある専門学校に進学。3年後、福島県いわき市内の医療機関に就職しました。
いわきとの出会いは初めてでしたが、この地に暮らして現在20年。人生のほぼ半分をこの街で過ごしてきたことになりますね。
自分自身が歩む人生の進路選択にあたっては医療系へ…という漠然とした想いを、ずっと以前から抱いていました。
医療分野について具体的な知識があったわけではないのですが、病院という職場で技術的な仕事をしたいというイメージにジャストフィットしたのが、目指す技術医療専門学校に当時ちょうど新設されることとなった、臨床工学科という学部でした。
それまでは制度として確立していなかった臨床工学技師という職種が、国家資格として認定されることとなったのです。病院における臨床と工学、私が望むその両面の要素に合致する制度が、まさにそのタイミングで誕生。
事実上の第1期生として、臨床工学技師の国家資格を取得しました。
産声をあげたばかりの制度のもとでの就職。その具体的な分野として、人工透析、人工心肺、高圧酸素療法、医療メーカー、あるいは大学院への進学といった方向性があるなかで、私が選んだのは人工透析でした。
クリニック、病院、そして規模の大きな総合病院。様々な医療環境の施設について、首都圏から東北エリアまで幅広く全方位でリサーチ、可能な限りきめ細かく検討を重ねました。
どの県であれ場所は問わない、臨床工学技師として自分なりの取り組みができる医療機関を。実際の選択に際して大切にしたのは、そんな視点です。
初めての就職先となった病院ほか複数の医療機関を経て、ときわ会に入職。今から10年前のことです。
いわき泌尿器科での勤務を中心として、当時ちょうど開設を迎えた富岡クリニックや北茨城中央クリニックといったサテライト施設、そして今夏の常磐病院グランドオープンまでは、同様に当会グループのひとつである泉中央クリニックで仕事をしていました。
現在、臨床工学部の副技師長として、常磐病院の人工透析センター部門における業務を担当しています。
臨床工学技師という仕事には、ひとそれぞれによって、オールラウンダーとしてのポジショニングから、看護師との接点、ドクターへの助言、管理栄養士との連携、機器の保守管理、システムの作成まで、その姿に様々なワーキングスタイルがあります。ひとことで云うと、臨床的な立場と工学的な観点の両方に軸を置いた考え方やスキルの発揮ができることが必要だと考えています。
そして同時に、技師という立場からチーム医療を担っているわけですが、そこで重要なのは、チームに携わる一員のそれぞれが資質や能力を磨き続けるということ。チームを構成する全員による相互の切磋琢磨があってこそ、患者さんによりレベルの高い医療サービスのご提供が実現できるのではないでしょうか。
自らのスキルアップこそチーム医療の本質にほかならない、それが私の信念です。
患者さんが病院で透析をお受けになるのは、1回4時間×週3回、合わせてわずか12時間。生活の大半をご家庭や職場など、病院の外でお過ごしになるわけです。その意味からは、患者さんご本人の自己管理がやはり大切です。
透析治療における、患者さんのご満足。それは透析導入に際しての患者さんそれぞれの背景や個別のご事情にも大きくかかわっていると感じます。
近年では導入時点の年齢そのものも高齢化の傾向にあるのですが、患者さんが何歳で透析を導入なさったか。以前から慢性的な腎疾患で通院しておられたかどうか。
例えば、会社の健康診断で蛋白尿を指摘されてそのまま何年間も放置なさった結果、突然気を失なって救急搬送され、その場で透析導入の必要性を告げられるといったケース。
高齢を理由に「もう自分は死んでも構わない」と透析をためらっておられた患者さんがご家族の説得で導入を決意、「もともと抱いていたイメージよりもはるかに負担が少ない、孫に家にも遊びに行くことができるようになった」とお喜びのケース。
あるいは腎移植をお受けになったことで、「お酒も少し口にすることができるようになった」という方もおられます。
何をもって「本当に良かった」というご満足をいただけるかというのは患者さんごとに異なるのですが、ご本人それぞれが暮らしのなかで大切にしてきておられることをどれだけ実現できるかという可能性、そして丁寧なご説明とできるだけ広い選択肢の模索。その点にあるのではないでしょうか。
常磐病院では現在約500名の透析患者がおられます。さらにいわき泌尿器科や泉中央クリニックなどを合わせますと、福島県内はもちろんのこと東北地方全体でも有数の診療規模にあります。
そうした当会グループだからこそ、現在そして今後さらに担うべき取り組みのひとつとして、最新の情報や先端の技術を積極的に取り入れつつ、患者のみなさまへの適正な治療方法を研究し、一段と進化させること。そして得られた結果を広く全国に向けて発表していくこと、そうしたテーマがあると考えています。
もちろん今すぐに実現できることとそうでないこと、あるいは着手の優先順位や成果反映の難易といった側面はありますが、非常に多くの患者さんが人工透析を受けておられる当院そして当会だからこそ、中長期的な視点に立脚した治療を一層実践し、信頼性の高いデータに基づく実績の構築とその発信を通じて、医療グループとしてのさらに高い使命を果たしていくことが望まれている、そう感じています。
ひととの縁、その「絆」を大切にするということでしょうか。
私と妻のどちらも、実家の両親がともに健在です。そして現在、小学5年生の息子と1年生の娘。
家族みんなが揃って健康であり続けること。それが、医療に携わる者のひとりとして、夫また父親としての夢です、ね♪