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すまいりすとすまいりすと

今月の「輝き!すまいりすと」Vol.59 2012年3月
桜田美恵(さくらだみえ)小名浜ときわ苑 看護師長 〜みんなの勇気や努力、絆といった学びを、ぜひ未来(あす)に活かしていきたいですね〜

浜っ子気質

生まれも育ちもずっといわき、地元以外の街の空気を知らないといっても良いほどですです。気が強いことで知られる小名浜人としての性格は、私自身も例外ではないかもしれません(笑)。

高校を卒業後して看護師の資格を取得、地元にある医療機関に就職しました。産婦人科、脳外科といった分野で勤務の後、結婚そして出産のため約5年間ほど家事に専念していたのですが、主人の祖母が施設利用者としてお世話になったことがきっかけで、小名浜ときわ苑に看護師として入職、開設の翌年のことでした。

医療から介護へ

結婚までの数年間勤務した脳外科では、毎月半分近くもの日数に及ぶ夜勤や、重篤な状態の患者さんに向き合う日々のなか、看護師として自分が生きているこの意義って何なのだろうという根源的なテーマについて思い悩むようになっていました。ある意味では、自分を見失っていたとさえ云えるのかも知れません。

病院で仕事をしていた当時、同僚たちのなかで老人ホームに転職していく人もいたのですが、その頃に私が漠然と抱いていた介護現場の印象は、どちらかというと暗いイメージのものでした。

ところが…!

明るいパワー

施設のオープンからまだ日が浅いにもかかわらず、介護の素晴らしさが地元でも評判となっていた小名浜ときわ苑。主人のおばあちゃんの入所がきっかけとなり、実際に看護師のひとりとして働き始めてみて、その良質で明るい介護のパワーに感銘を受けたのです。

ご利用者のみなさまを人として大切にする介護、日々おひとりおひとりの様子を見極め続ける職員たち。その姿勢に、心からの感動を覚えました。

ご高齢のみなさんやご家族の方と出会い、その人生に携わらせていただくことができる。そうした仕事を、私自身とても幸せに感じています。

観察そして連携

現在当苑では全職員約100名のうち、15名が看護職として働いています。出勤して朝一番にミーティング、申し送りを終えてから午前中にすべてのみなさまのお部屋を巡回します。お昼に際しては、お食事の介助をしながら様子が気になる方の状態をみた後、午後は個別のご利用者のケアやデスクワークなどをしているうち、あっという間に一日が過ぎてしまいますね。

ご入所者のなかには、ご自身の状態をご本人からお伝えになることが難しい方もおられるので、どんなに細かな点であっても、私たちが見逃さないという観察眼がとても重要です。その意味で、スタッフのみんなによる毎日の情報共有や幅広いチームワークが求められます。

そしてまた近隣にある各医療機関との緊密な連携。ソーシャルワーカーのみなさんによるご努力のお蔭で、地域医療機関との間で、以前よりもさらにスムーズな協調がとれるようになってきました。

看護師と看護師長

部門長という役職経験を含めて、ケアスタッフの実務を束ねる立場としての仕事は、今年でちょうど10年目になります。業務上の様々な事柄についてトップダウンで判断しなければならないケースもありますが、基本的にはちょっとした声かけやアドヴァイスを通じて、スタッフのひとりひとりが考える力をつけてほしいと願っています。

マネージャーとして、みんなが伸び伸びと仕事ができることを大切にしているのですが、自分自身での取り組みをおろそかにしたままで上司に答えを求めてくるといった場合には、わざと強く叱るように心がけています。

とは云いながら、私自身もコーチングを学んだり、様々な本で勉強したりと、日々の試行錯誤を重ねつつ、みんなの成長を目指しています。

寄り添いの心

施設への入職からほどなく、認知症の方にご利用いただく棟を数年間担当しました。その頃の夜勤では、ご入所者100名を25名からなる4チーム体制で担当していたのですが、お部屋にお伺いして遭遇する様々な所作に当惑し、精神的に追い詰められることもしばしば…。

頭では理解しているつもりでも、認知症の本質を必ずしも自分の気持ちのなかでわからずに悩んでいる時期がしばらくありました。

患者さんのお心への寄り添い方、理性や情感のバランス、そしてご家族のみなさまとのコミュニケーション。そうした学びや経験を積み重ねることによって、本当の意味で自分自身の心で受け止めることができるようになった、今振り返ってみてそう感じます。

震災から1年

あの日のことは良く覚えています。ちょうど娘の卒業式の当日、家族みんな揃ってパーティーをしようと、自宅で食事の準備をしていました。お鍋を火にかけ、洗濯物を取り込み、公園で野球をしてくると言って出かける下の子供を送り出した、ちょうどその時。

突然大きな揺れが起きて、戸棚の物が散乱、表に出てみると屋根からは瓦が…。止めてあった車も激しく揺さぶられていました。不幸中の幸い、たまたま自宅周辺の地盤がしっかりしていたようで、大きな被害には見舞われずに家族も全員無事でした。

あれから1年…。

震災によって、施設ご利用者のみなさま、および当苑職員ともに大変な経験をしましたが、同時にそれはまた、私たちにとって貴重な機会になったともと感じています。

みんなの勇気や努力、絆といった学びを、ぜひ未来(あす)に活かしていきたいですね。

座右の銘

通学していた高校の門を入ったところに刻まれていた言葉、「継続は力なり」。その当時はあまり良く理解できていませんでしたが、最近とても実感するようになりました。

何事も続けることこそ、真の力なのだという意味を…。

パン屋さん

将来いつか、自宅にパン店を開くことができたら素敵だろうな、そう思います。美味しいことはもちろん大切なのですが、ちゃんとした酵母を使って、生地をきちんとこねて、石窯を使って丁寧に焼き上げた、健康に良いパン。

そんなパン屋さん。…私のささやかな夢です♪