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2014年04月09日
みなさん、こんにちは。作業療法士の川又寛徳です。
今回は「選択」についてお話させていただきます。
「選択」と言えば、コロンビア大学で教鞭をとられている
シーナ・アイエンガー教授の著書『選択の科学』が
数年前にベストセラーとなったことからも、
案外多くの方が興味を持つキーワードなのかもしれません。
日常生活に応用できる興味深い内容ですので、
是非手に取ってみてください。
では、本題です。
人は日々「今日の夕飯は何にしようか?」といった日常のレベル(活動選択)から、
「どのような職業に就こうか?」といった人生の決断ともいえるレベル(作業選択)まで、
多彩な「選択」を行っています。
このように当たり前に行われている「選択」ですが、
認知機能が低下した高齢者にとっては、選択する能力の低下だけでなく、
「どうせわからないだろう」と決定権を奪われ、
選択の「機会」が少ない(“ない”)ことが問題です。
多すぎる選択肢は負担となりますが、
程よい選択肢や決定権は、
満足感や健康とも関係することがいくつかの研究で示されています。
さて、認知機能が低下した高齢者の活動選択を支援する道具として、
作業療法士の井口らが開発した「認知症高齢者の絵カード評価法」があります。
これは、「俳句や川柳をする」「畑仕事をする」「顔を洗う」など
70の作業場面が描かれた絵カード構成され、
話をしながら絵カードの作業の重要度を対象者と一緒に分類し、
重要度の高い作業の可能化を目指します。
これまでの人生についての話を交えながら活用することで、
より豊かな活動選択の機会を提供します。
認知機能が低下した高齢者に対して、
このような道具を活用してコミュニケーションを図り、選択の機会を提供することは、
より良い満足した生活を支援するのに重要なことです。
興味がある方は、お近くの作業療法士までお尋ねください。