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『持ち上げない介助』に向けた一歩・・・

2015年02月13日

皆さん、こんにちは。
作業療法士の遠藤です。


当苑では、『持ち上げない介助(No Lifting policy)』の実現に向けて、
いくつかの福祉用具が導入されました。

その一つとしてフレックスボードがあります。
バスタオルを使用し二人介助で行っていた移乗が、
利用者様を持ち上げることなく、寝た状態のままで、
ベッドとリクライニング車椅子間の移乗を可能とするのです。

フレックスボードの使用が介護の現場で定着していく中で、
「〇〇さんの移乗はどうするといいですか?」
「△△さんは足が痛くて、移乗介助が大変になっているんです」
と、普通型車椅子を使用している、立ち上がりが困難な利用者様の移乗介助の方法について、
疑問の声が上がるようになりました。

利用者様の状態から、移乗用リフトの使用が検討されました。

移乗用リフトは介助者一人でも操作が可能ですが、
安全面を考え、二人で行うことにしました。
一人で行っていた介助を、二人で行うことになり、
機械の操作という慣れない方法での介助…
人手も時間もかかり、業務効率が悪くなるように思われていました。
しかし、何度かリフトを使用することで、介助者がお互いに声を掛け合いながら効率的にリフトを操作することが可能となります。
「介助にかかる時間」は心配していた程ではなく、
介助者の身体的な負担の軽減が得られました。

また、リフトを使用するに当たり、
利用者様に恐怖心や不快感が生じるのではないかという不安がありましたが、
実際にリフトを使用した利用者様からは、
「痛くも怖くもない、楽だった」との言葉を頂きました。
足の痛みから移乗動作を苦痛に感じ、ベッドから起きることに消極的になっていた利用者様は、
リフトを使用したことで、移乗動作時に生じていた苦痛が和らぎ、ベッドから起きることを前向きに考えて頂けるようになりました。

抱え上げたり、引き上げるような従来の移乗介助は、
介助者の身体的な負担が大きいのはもちろんですが、
介助を受ける側の利用者様に痛みや不快感、恐怖心などの負担をかけてしまうことがあります。
双方に負担が生じることで、
介助量の増大や利用者様の活動の制限を引き起こす危険性があるのです。
『持ち上げない介助』は介助者のみではなく、介助を受ける利用者様にかかる負担をも軽減し、安心できる介護につながるのだと感じました。

移乗用リフトを実際の介護現場で使用したことで、
リフトを使用することで得られる効果を実感することができました。
しかし、同時に、リフトの使用を実用的にするための課題も明らかになりました。
まずは一歩…
少しずつですが、『持ち上げない介助』に向けて進んでいます。

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介護老人保健施設 仮設楢葉ときわ苑

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