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こんにちは、理学療法士の佐川順子です。この連載コラム「介護予防の視点」も第5回目となりました。今回は、先日いわき市民文化センターで行われました講演会、医師で茨城県健康プラザ管理者である大田仁史先生の『住民参加の介護予防』に参加させていただいたので、そのご報告をしたいと思います。
2015年には、団塊世代の方々が高齢者となりいよいよ「超」高齢化社会を迎えます。そこで、お隣の茨城県では、早くから住民参加型の介護予防事業を進めてきたそうです。まず住民自らが学び、力をつけ、自らが資源となり、世代を超え、官民一体となって「超」高齢化社会を乗り切ろうと、ヘルパー3級取得の県民運動とシルバーリハビリ体操指導士の育成に取り組んできました。その結果、住民の意識や行動に変化が現れてきているとのことでした。
では、介護予防に役立つ、そして介護にも役立つ、シルバーリハビリ体操(大田先生を中心に考案された)とはどのようなものなのでしょうか?講演会では先生の実演もあり、参加者全員で体操を行いました。(※今回はその一部をご紹介いたします。)
その1:両手の指先を掛けるように組み、両肘が水平になるように構えます。組んだ指先が外れないように注意しながら、引っ張ります。ゆっくり、5つ数えたら力をぬきます。同様に、逆に組みなおして引っ張り、ゆっくり5つ数えます。
効果:握力や腕全体の力がつきます。
その2:両手を胸の前で合わせ、両肘を水平になるよう構えたら、両手を押し合い、ゆっくり5つ数えます。
効果:(介助などで)体をかかえる時、かかえられる時に使う筋肉をきたえます。
その3:左に膝の上に右手、左手と重ね、膝を胸の方に引き上げるとともに、両手で抵抗をかけゆっくり5つ数えます。同様に、右の膝の上に左手、右手を置き、膝を引き上げるともに抵抗をかけます。
効果:歩くときの足のつまずきを防ぎます。
※どの運動も大きく息を吸い、吐き出す時に力を入れます。(大田仁史、『いっぱつ体操』より)
<高齢者へのリハビリ体操の3原則 大田仁史>
1.一度に、無理してがんばり過ぎないこと
2.「少し良くなったから」といって止めないこと
3.効果が現れなくても、あきらめないで続けること
人生の最後まで、人間の尊厳を守っていくためには、介護予防・リハビリテーションの知識や技術が大切であることを痛感した講演会でした。私たちも日々のリハビリを通じてそのお手伝いができればと思います。
また早速、上記の「いっぱつ体操」の動きを当苑のリハビリにおいても取り入れて行っております。みなさんもぜひお試しください!
参考研修会:
平成19年度地域リハビリテーションいわき広域支援センター従事者等研修会
『住民参加の介護予防』
講師:茨城県健康プラザ管理者 大田仁史 先生
日時:平成19年10月4日(木)18:30〜
場所:いわき市民文化センター