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こんにちは! 理学療法士の佐川順子です。
連日、厳しい暑さが続いておりますが、皆さん元気に過ごされていますか?
先月のコラム<水分補給の重要性>を参考に、まめに水分補給をして、熱中症には十分に注意して下さいね!
さて、今回は、「笑いの効用」についてお話させていただこうと思います。
私はリハビリの時間中、利用者のみなさんに少しでも笑顔で楽しい時間を過ごしていただけるよう、こころがけています。
「笑いと治癒力」について、最初に唱えたのは、アメリカのジャーナリスト、ノーマン・カズンズ氏です。カズンズ氏は、回復が難しいと言われた膠原病を、笑い(積極的情緒)と創造力と生への意欲で奇跡的に克服しました。氏は、笑いは、「生きたい」という意志を活性化するためのツールの一つである。と述べています。
それから40年が経ち、笑いと健康についての研究が行われ、様々な報告があります。
日本医科大学の吉野教授は、関節リュウマチの患者さんが落語を聞いて笑うと、がん細胞をやっつけるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性値に変化が表れ、関節リュウマチの炎症と関係するインターロイキンー6やコルチゾール(別名 ストレスホルモン)という物質の減少がみられ、痛みが緩和されたと発表しました。
また、作り笑いだって効果があるのです。あるテレビ番組で行った実験によると、気に入ったものに微笑みかけても、嫌いなものに無理に笑顔をつくっても血流の改善がみられました。これを顔面フィードバック効果というそうです。
そう、人間は気分がいいから微笑み、楽しいから笑う、というわけではなく、むしろ微笑みや笑いは、気分を良くするためのスイッチ、と言いかえることもできそうです。ですから、普段から笑顔でいることは、生活をとても活き活きと楽しくしてくれるんですね。
なんと最近では、笑いを医療・福祉分野に取り入れた「笑い療法士」や「お笑い福祉士」などの認定資格もあるそうですよ!
【笑いの効果のまとめ】
・免疫力や自然治癒力が高まる
・交感神経と副交感神経がバランスよく働く
・腹筋や横隔膜が鍛えられ、排便がラクになる
・ストレス解消になる
・脳が活性化する
・人間関係を円滑にする
6月末、私は、海流座の「新 裸の大将放浪記」を鑑賞しました。山下清役の芦屋小雁さんが登場すると、歓声とともに笑いがおこり、小雁さんの一挙一動に腹を抱えて大笑いし、米倉斉加年さんが「わたしも後期高齢者になりまして・・・・・」とおっしゃるので、またまた会場は笑いの渦に巻き込まれました。
毎回感じることですが、演劇をみて、笑ったり、泣いたりすると、私も会場の老若男女(中高年の方が多いようです)の方々もとてもすっきりした顔をして、帰路につくのです。
笑いによる健康効果は分かっても、なかなか笑えないとおっしゃる方もいるでしょう。外出もままならないし、心の余裕もないのよとおっしゃる方もいらっしゃると思います。
今回は笑いの効用についてお話したのですが、つらいときには泣けばいいのです。泣くことにも、笑いと同じような作用があることが報告されています。悲しくて流す涙にも、感激して流す涙にも同じ効果があるそうです。
きたる8月24日(日)に、毎年恒例の小名浜ときわ苑夏祭りが開催されます。ぜひ、ご来苑くださり、大いに笑い、楽しんでいただきたいと思います。私たち、リハビリテーション部のスタッフも笑顔でお待ちしています。
<参考文献>
笑いと治癒力: ノーマン・カズンズ、松田銑[訳] 岩波書店
笑いと免疫力: 吉野槇一 主婦の友社
笑顔がクスリ: 昇 幹夫 保健同人社
一瞬で自分を変える法: アンソニーロビンズ、本田健[訳] 三笠書房