文字サイズ:

介護予防の視点介護予防の視点

Vol.16 豊かな睡眠で健康生活

皆さんこんにちは! 理学療法士の飛田ひかるです。
季節もようやく秋に向かって歩き出していることと思います。朝晩の冷え込みに注意し、風邪など引かないよう、お気を付け下さい。
 
ところで、前回は「筋と歩行」としてコラムを書かせていただきましたが、今回は打って変わって睡眠に着目したいと思います。つい最近までは、「暑くて眠れない」「目覚めが悪い」「疲れが残っている」なんて事はありませんでしたか?(私だけでしょうか・・・)
私の睡眠時間は平均6〜7時間で、昼はウトウトと目をつむり約30分(仕事中ではありませんよ!)位です。

なぜ眠たくなるのでしょう?

色々な説があるようです。疲労回復説、刺激遮断説、睡眠物質説など様々あり、研究は進んでいますが、解明されていない事が多く、まだまだ探検している世界です。

では、睡眠とは何でしょうか?

人は一度眠りにつくと、ずっと同じ状態にいるように思われます。ところが実は2種類の眠りを約90分〜110分を1サイクルとして繰り返しているのです。

その2種類の眠りとは「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」です。
ノンレム睡眠とは脳の眠りと呼ばれ、ぐっすりとした眠りの状態です。この状態の時には、少々の刺激では目覚める事はできません。
レム睡眠とは急速眼球運動(間歇的ですが眼球がキョロキョロ動く)や、口元・指先がピクピク動き、浅い眠りの状態です。脳の一部は活動していて、この時に夢を見ます。



加齢と睡眠の関係はどうでしょう?

新生児では長時間眠り、成長とともに睡眠時間は短くなっていきます。
その中でも、浅い眠りの状態のレム睡眠の割合は、新生児で50%、19〜30歳では22%、70歳を超えると13,8%だそうです。ぐっすりと寝ているノンレム睡眠は、新生児からしばらくは増加傾向ですが、次第に低下し、50歳以降になると更に低下率が高くなるそうです。
 
睡眠時間については、6時間以下の人を短眠者、9時間以上の人を長眠者として分け、大部分はその中間に入ります。しかし、睡眠の長さにより良い悪いとは言えず、睡眠の質が問題です。なお、日本人の睡眠時間は少しずつ短くなっているそうです。

実は・・・

1日24時間で生活している私たちですが、実は体内時計は25時間周期なのです。
そのため、約1時間のずれを社会生活の中で修正しているのです。時計もない、社会的な活動もない状態では、体内時計の25時間で生活が行なわれ、その時間の中には2度眠たくなる時があります。昼食後に軽い眠気に襲われるのはその現われで、人はもともと昼の軽い眠りと夜の深い眠りの2つの睡眠時間をもっています。
 
外国旅行などで時差があって眠れなくなったりするのも、急な社会時計の変化についていけない事から起きる現象であり、赤ちゃんや老人が成人と異なるリズムを持つのも体内リズムに従う事が多くなるからです。

では、より良い睡眠のために・・・

生体リズムを崩さないようにしましょう。
規則的な睡眠をとるようにし、目覚めた時は太陽の光が当たる場所で30分以上過ごしましょう。食事も決まった時間にとりましょう。
夕方には、簡単な体操や散歩などの有酸素運動を30分程度しましょう。

寝る前にもまだまだ・・・

ぬるめのお風呂にゆっくりつかりましょう。
ハーブティーやアロマの良い香りでリラックスしましょう。
眠りを誘う音楽で心を落ち着かせましょう。
寝室やリビングルームの照明の明るさを控えめにしましょう。
空腹感を和らげましょう。(食べすぎ注意)

次に出来るだけ避けて欲しいことは・・・

寝る前に熱いお風呂に入る。
カフェインを含む飲物を飲む。
寝る前に大量の食事を取る。または反対に極端に空腹状態で寝る。
激しい運動をする。
テレビやパソコンを見たり、ゲームをしたり脳が興奮するような事をする。
眠れない場合に、無理に眠ろうとする。



寝不足は老化を早めるそうです。しかし、人それぞれ生活スタイルがあり、無理にスタイルを変えるとまたその反動がきてしまい、疲労が蓄積してしまいます。
 
まずは、自分の中で変えられる所を少しずつ増やし、さわやかな目覚め(レム睡眠が終わった後に浅いノンレム睡眠が少し続いた頃)で気持ち良く起きましょう。
 
 
 
<参考文献>
「睡眠の不思議」 井上昌次郎 : 講談社現代新書
スマイルーラボ.Net
「老健」平成18年10月号 :社団法人全国老人保健施設協会

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

福島県いわき市小名浜

☎ 0246-58-2300

看護師サイト

二人のソプラノSempre ff 土井由美子と常盤梢