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Vol.37 熱中症を防いで、夏を楽しむ!

こんにちは!!はじめまして。今年の4月から小名浜ときわ苑で働くことになりました、理学療法士の秋山真衣美です。初めての執筆です。どうぞよろしくお願い致します。

梅雨も半ば、これから夏に向けて、どんどん暑くなっていく季節です。そんな今の時期、そして、これからのために、今回は熱中症についてお話したいと思います。

熱中症というと、みなさんはどんなイメージをお持ちになりますか?炎天下の夏の出来事と考える方が多いのではないでしょうか?夏の炎天下、運動時に起きやすい事は確かですが・・・実は、湿度の高い・梅雨時の室内でも条件によっては熱中症の危険があります。ご存知でしたか?

熱中症とは…

高温・多湿な環境にさらされ、体温が異常に上昇することで、体内の水分や塩分が低下し、脳への血流も不足し、その機能まで低下して発症する障害の総称で、以下の3つの病態に分けられます。

熱疲労:
多量の発汗に水分・塩分補給が追いつかず、脱水症状になったときに発生します。代表的な症状は体温が39℃程度まで上昇しているにも関わらず、皮膚は冷たくなり寒く感じて、多量の発汗が見られます。

熱痙攣:
多量の発汗後に水分だけを補給して、塩分・ミネラルが不足した場合に発生します。突然の痛みを伴った筋肉の痙攣や硬直で生じます。体温は正常であることが多いのですが、大量の発汗が見られます。

熱射病:
熱や直射日光で脳の視床下部にある温熱中枢まで障害されたときに、体温調節機能が失われることで生じます。高度の意識障害が生じ、体温が40℃以上まで上昇しているが、発汗はほとんど見られず、皮膚は乾燥している状態です。

熱中症の発生は気温や直射日光だけでなく、湿度が高いことや風が弱いことで体温が上がりますが、体の熱が逃げにくい状況になった時にも起こりやすいと言えます。湿度が高くなる季節といえば・・・、そうです!!梅雨の時期ですね。

体の中に熱がこもりやすくなる原因の1つには、汗をかいても体温が下がりにくいということがあります。みなさんは「汗をかくと体温が下がる」ということはご存知でしょうか?

少し難しい話になってしまいますが、汗は水蒸気になって気化する時に、気化熱を体表面から奪ってくれるで、体温が下がります。しかし、梅雨時は発汗しても汗が蒸発せず、滴り落ちるような状況になるため、体温が下がりにくく、室内でも熱中症になる危険性が高いのです。特に成人に比べて脱水症状を起こしやすく、体温を調節するための発汗機能が低い高齢者や乳幼児の方々は注意が必要です。

また急に暑くなった時にも身体がついていけず、熱中症が起こりやすくなることが知られています。下痢などで脱水症状にあったり、寝不足といった体調の悪さも熱中症のリスクにつながります。



発見と手当てが早ければ軽症で済みますが、「熱射病」のように重症化すると、頭痛や嘔吐、めまいやだるさを感じたり、さらにひどくなると、意識障害を起こすこともあり、命にも関わるものです。ちょっとおかしいなと感じた時には、涼しい場所で休息する、水分補給をすることなどが大切です。

熱中症の症状や発生状況についてお話してきましたが、何よりも熱中症にならないための予防をすることも大切です!!そこで、次は予防するためのいくつかのポイントをご紹介したいと思います。

予防のポイント

1.外出の前後には水分を多くとる
こまめに水分補給をしましょう。ただ、水だけをとっても吸収のスピードがあまり良くないので、効果的なのは、適度な塩分と糖分を摂取することができるスポーツドリンクと言われています。

※ 以前のコラムの中で<VOL.13 水分補給の重要性>について書かれています。ぜひ今一度、水分補給のポイントを確認していただければと思います。

2.衣類などによる体温調節
できるだけ吸湿性・通気性・速乾性に富んだ衣類を着用するようにしましょう。そして黒っぽい色の洋服は日光を吸収し熱くなりやすいので、避けたほうがいいと言われています。

3.外出する時には帽子や日傘で暑さを避けましょう

4.日頃から徐々に暑さに身体を慣らしましょう
日頃、冷房の中にいることが多い方は要注意。長時間の外出をする予定があるなら、日頃から短時間ずつでも外の空気に触れておくことが大切です。

5.睡眠・食事を十分に取る
体が疲れている時には、より熱中症になりやすいといわれていますので、睡眠・食事でエネルギーを十分蓄えて、暑さに負けない体づくりをしておきましょう。

6.適度に休息しましょう

7.アルコールでの水分補給は禁物!!
ビールがおいしい季節ではありますが、アルコールでの水分補給はかえって脱水症状になりやすいので逆効果です。また、お茶・紅茶・コーヒーも利尿作用があるので避けたほうが無難だと言われています。

これから、ますます暑さが増していきます。熱中症の予防を忘れずに、体調の変化に注意して、元気に夏を楽しみましょう!!

<参考文献>
明石謙:PT・OTのための一般臨床医学、医歯薬出版株式会社、2002
鈴木庄亮:シンプル衛生公衆衛生学、南江堂、2002
森田茂穂:救急医療ジャーナル 熱中症−その予防と治療のポイント

介護老人保健施設 小名浜ときわ苑

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福島県いわき市小名浜

☎ 0246-58-2300

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