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はじめまして。前回のコラムリストと同じく、楢葉ときわ苑にて理学療法士として働いている阿部真由美と申します。よろしくお願い致します。
唐突ですが、最近、みなさまは太陽の光を浴びていますか。冬になると、太陽の出ている時間が少なく、外気温が低いため、外に出ることも少なくなります。そのため私は、冬になるといろいろなことが億劫になってしまいます。みなさまにもこのような経験はないでしょうか。今回は、「太陽の光の重要性」についてお伝えしようと思います。
まず、みなさまは太陽の光に良いイメージをお持ちですか。
太陽の光(紫外線)が体に悪いのではないの?日焼けしちゃう。女性であれば、シミが増えちゃう。などといった不安をお持ちかもしれません。たしかに、太陽の光を浴び過ぎると皮膚への影響はあると思います。しかし、太陽の光が人の体に及ぼす良い影響もあります。
など、これ以外にも太陽の光の好影響はあります。今回はこの中で、(1)うつ症の方や認知症の方の精神症状が落ち着くこと、についてご説明します。
「うつ病と認知症」については、このコラムの Vol.42『老年期のうつ病について』にわかりやすく書かれていますので、ぜひ参照なさってみてください。
私が働いていて思うのは、この2つの病気は似ていないようで意外と似ていて、区別をつけることが大変難しい病気だということです。なぜなら、認知症の症状のなかにもうつ症状が見られるからです。
「うつ病」と「認知症」のうち、まず「うつについて」簡単にまとめます。うつ病やうつ症状の方はストレスにより、脳内の物質、セロトニンの分泌が少なくなっているとされています。最近では、セロトニンは人間の精神活動に大きく関係していると考えられています。
次に「認知症について」です。認知症には、中核症状と周辺症状があります。
中核症状とは、認知症患者さんに必ず認められる認知機能の障害のことです。
周辺症状とは、身体状況や環境によって中核症状から二次的に出現するさまざまな精神症状や行動異常のことです。
最近では、認知症の方の脳内でもセロトニンの分泌が少ない状態であり、認知症の方の周辺症状(精神症状)には、セロトニンが有効だと考えられています。
以上の事から、「うつ」と「認知症」の方々の脳内では、共通してセロトニンが減少していると考えられています。そのため、セロトニンを増やしていくことで、「うつ症状」や「認知症」の症状が軽減すると考えるわけです。
では、セロトニンを増やすためにはどうしたら良いのでしょうか。食事、運動、睡眠が必要となってきます。
セロトニンはトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸が体内で変化したものです。必須アミノ酸とは体の中では作れないアミノ酸なので、栄養分として食事やサプリメントから取り入れなければなりません。トリプトファンを体内で『セロトニン』にするには、「トリプトファン」と「ビタミンB6」、「マグネシウム」が必要となります。それぞれが多く含まれている食品を以下にご紹介します。
特殊な運動ではなく、規則的なリズムカルな動きをすれば大丈夫です。たとえば、ウォーキングやジョギングを5〜30分程度無理なく継続することや、身近な例では、リズム良く咀嚼をすることでも、セロトニンを増やす運動となります。
継続的に運動を行なうことは、夜良く眠れるようになることにもつながります。睡眠を促す物質はメラトニンという物質です。メラトニンは、夜寝ている時にセロトニンがメラトニンへ変化したものです。日光を浴びたり、運動などを行ない、セロトニンが増え、眠りにつき増えたセロトニンがメラトニンへ変化する。すると夜良く眠れるようになるということになります。
ぜひ、みなさまもやってみてください。難しそうだなぁと思わず、まず良く噛んでご飯を食べてみることが始めてみませんか。朝起きたら、カーテンを開けることからでもかまいません。何事も始めてみないと何も変わりません。頑張るのではなく、簡単なことから、楽しく続けられる事が一番大切なのではないかと思います。
参考資料
・Web 認知症・アルツハイマー病を理解する−原因・症状・診断・治療・介護など− ・Web セロトニンを増やす