ときわ会HOME > 介護老人保健施設 小名浜ときわ苑 > 介護予防の視点
みなさんはじめまして。この4月より小名浜ときわ苑に入職しました、言語聴覚士の森弓子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、言語聴覚士って何する人?という方が多くいらっしゃるかもしれません。簡単にご紹介しますと「口に関するリハビリ」を行う専門家です。脳梗塞・脳出血で話すことができなくなった「失語症」、発音が上手にできない「構音障害」、頻繁にムセる「嚥下障害」のリハビリを行なっています。
今回は、その中でも「嚥下障害」のお話をしたいと思います。
人間は無意識に食べ物をゴックンと飲み込むことができます。唾液は常に口の中に出てきていますが、いつの間にか飲み込んでいるので口から溢れてくることはありません。赤ちゃんは、目が開くよりも早くミルクを飲み始めます。ゴックンと飲み込むことは当たり前のことだと思っていませんか?実はこのゴックンには繊細な動きがあるのです。
人間は腹側に気管が背中側に食道が仲良く並んでいます。普段は気管が開くことで呼吸をし、食道の入り口は閉じています。これがゴックンと飲み込むと、気管が閉じて蓋が閉まり食道が開きます。飲み込むときは呼吸を止めて、飲み込んだ後には息を吐いているはずです。とても簡単なことですが、このタイミングが上手くいかないと気管に食物が入ってしまい、食事中にムセってしまいます。
そういえば最近ムセるかも、という方はこんな方法で確認してみてください。(ただし、絶食をされている方、経管栄養を行なっている方、体調のすぐれない方は行わないでください。)
ムセリが気になる方に自宅で簡単にできる訓練方法をご紹介いたします。
1.小さな氷をなめて下さい。冷たさで口の中を刺激します。
2.頬、唇の周り、顎の下〜喉仏の辺りをマッサージ。動きやすいようにほぐしてあげます。
簡単な訓練方法を紹介しましたが、一番の訓練は、よく笑い、よく話すことで口を存分に動かすことでしょう。
もし食後に呼吸が苦しい、ゼーゼーする、激しいムセリの後に発熱した、などの症状が現れた方はお医者さんの診察を受けてください。肺炎の危険性もあります。
また、ちょっと不安と言う方は、病院のリハビリテーション部門に、もし「言語聴覚士」が在籍していれば詳しい検査や相談にのっていただけます。もちろん、小名浜ときわ苑の言語聴覚士である私も相談に応じます。
食べることは、人生における大きな楽しみのひとつです。いつまでも、美味しいもの・好物を食べていけるように気をつけていきたいですね!
参考文献
嚥下障害ポケットマニュアル 聖隷三方原病院嚥下チーム 医師薬出版株式会社