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こんにちは、理学療法士の飛田ひかるです。今回は「骨粗鬆症」についてお話ししたいと思います。
一度は聞いたことがある言葉、もしくはすでに診断されている方もいらっしゃるかと思います。今まで自覚症状は特になく、ちょっとした事、例えば…
同じような生活を送っていたのに、そのうち痛みが出てきて、病院に受診すると「骨がスカスカですね、骨折していますよ。」と言われた方もおられるのではないでしょうか。転倒や転落はもちろんですが、とても些細な動作で骨折してしまう病気なのです。
「年をとったのだから、骨がもろくなるのはしょうがない」と思われている方はいませんか。ある調査では、40代で骨粗鬆症になる方は少なく、50代・60代・70代・80代と年齢を重ねるにつれて罹患率は上がるそうです。しかし、80代になっても骨粗鬆症にならない方もいらっしゃいます。という事は、「年齢を重ねると必ずかかる病気」ではないのです。
そして、女性だけがなる病気でもないのです。数的にはもちろん女性の方が多いですが、女性の6分の1ですが男性でもかかる病気なのです。骨は活発に代謝をしており、組織が古くなり死滅し、新しい組織に入れ替わるという作業を日々行っています。その代謝が様々な原因で阻害されるのです。
よく聞かれる原因として、骨の代謝に必要な女性ホルモン「エストロゲン」が、閉経により減少して引き起こされるという事です。エストロゲン量が減少してしまうと、組織が死滅しても新しい組織を作るのに時間がかかってしまい、その間も組織は古くなってしまうので追いつかなくなってしまうのです。その結果、骨がスカスカになってしまうのです。
男性の場合もホルモンの影響があります。そのほかにも、食事や運動など日々の生活が関係しているようです。
大きく分けると次の2種類に分類されます。
男性、女性にかかわらずホルモンの影響や加齢により骨量が低下する事が直接的な要因となっています。
病気や栄養不足、薬の副作用などにより引き起こされた骨粗鬆症を示します。
現在各市区町村では、骨粗鬆症健診を行なっています。40歳から70歳まで(5歳ずつ刻み)またそれとは別にもちろん個人で受診は可能です。近くの医療機関で確認してください。内容としては、問診のほか、機械を使った骨量(骨密度)の測定があります。
若いうちに蓄積しなければいけない事が多々あります。食事面、運動面はもちろんですが、「今からあの頃に戻って!」はできません。では、どうすればよいのでしょうか。実は、今からでも予防もしくは骨粗鬆症になった場合に重症化しない方法があります。
それは、『日光を浴びること』です。骨を強くするのにはカルシウムをとるという事は良く知られていますが、ビタミンDがカルシウムの吸収を助けてくれます。食物に含まれるビタミンDが、実際に役立つ活性ビタミンDになるには、日光の紫外線の作用が必要となります。
しかし、日差しが強い時や、暑い時は少し時間帯を考え、朝にウォーキングするなど、日光浴しながら運動を行なうことができます。またウォーキングも、最初から長く歩くのではなく、状態を見ながら距離や時間を延ばしていくことが必要です。
この他に、当苑の介護予防コラムのバックナンバーには、Vol.30「噛むことのすすめ」で乳製品、豆腐、小魚、海藻、ごま、緑黄色野菜、海藻、野菜、豆、種実類などのカルシウムやマグネシウムを含むものを摂取する事が骨粗鬆症予防の食事として紹介され、歩き方としてVol.23「歩くことの大切さ」、その他にも色々な運動が載っています。
そして、もし杖が必要となった場合Vol.36「転ばぬ先の…」で様々な杖の紹介をしています。またVol.45「太陽の光の重要性」で、日光浴が骨粗鬆症以外にも効果のある事が書かれています。
現在、「外に出て何かをする」ことや食事の面で苦労なさっておられる地域があることかと思いますが、できる事をできる所から行なえれば良いのです。
私たち小名浜ときわ苑・楢葉ときわ苑リハビリテーション部も、微力ながら、色々な情報の発信やご提供をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
小名浜ときわ苑・楢葉ときわ苑リハビリテーション部 スタッフ一同
参考文献
井上聡:40歳からの女性の医学 骨粗鬆症 岩波書店 2008
辻秀一(監):骨粗鬆症ハンドブック 日本医学館 2003
太田博明:レディースクリニック 骨粗鬆症 主婦の友社 2007
鈴木正之:高齢者のための筋力トレーニング 黎明書房 2005