ときわ会HOME > 栄養指導 > 低たんぱく食事療法とは? > 食事記録の付け方
私たち栄養士は、過不足なく栄養素を満たしたお食事を提供したり、個々の疾患に合わせた栄養食事指導するために栄養素量というものを計算しています。
皆さんは、『栄養士は、ほとんどの食品の栄養成分が頭にはいっているに違いない!』と思っていませんか?
実際、そのような栄養士もいるかもしれませんが、私を始めほとんどの栄養士が、『食品成分表』を使用して計算しています。
正式名称は『日本食品標準栄養成分表』です。
『日本食品標準栄養成分表』とは、科学技術庁の調査によって提供される可食部100gあたりの数値です。
日本で日常的に摂取される食品1882品の標準的な成分を収載したものです。
『年間を通じて普通に摂取する場合の全国的な平均値という概念の下に標準成分値を決定している。』とのことです。
1882品は、穀類・いも及びでん粉類・砂糖及び甘味類・豆類・種実類・野菜類・果料及び香辛料類・調理加工食品類の計18食品群に分けられます。
多品目が掲載されているように思いますが、掲載されていない食品もあります。
産地の差が大きい『野菜』や『魚介類』は、野菜326品・魚介類388品と多く掲載されていますが、実際に患者さんの食事記録を計算するときに不便を感じます。
当院のあるいわき市は黒潮と親潮がぶつかる潮目の海で、季節によって北方や南方の多種多様な種類の魚が水揚げされます。
鰹やお刺身で食べるサンマ、アンコウ鍋が有名ですが、これらは食品成分表に収載されております。
しかし、この地域で一般的によく食べられているのですが、収載されていないお魚があります。
『めひかり』『どんこ』『柳ガレイ』等です。
そこで、これらのお魚の栄養成分を知りたく、福島県水産試験場(いわき市小名浜)に電話をしてみました。
担当の方が電話にでられ、こちらの質問に親切にお答えくださいました。
『めひかり』『どんこ』『柳ガレイ』について、まだ調査途中で、エネルギーやたんぱく質等の栄養素はわからないそうです。
肉質の脂肪は季節によって変動が激しく、よってエネルギー量の変動も激しいとのこと。
また、生殖腺や魚の大きさ(成長)によっても、変化してくるそうです。
それらをすべてまとめ、100gあたりの栄養素を特定するには、まだ調査が必要とのことです。
この調査過程は福島県水産試験場から、報告書として公表されるそうです。(東日本震災前の情報です)
この食品成分表は栄養士が使うものだ…と思った方もいるのでは…?
現在は多種多様な情報と調理法で、様々な食品が食べられています。
また飽食の時代と言われて久しい今日、生活習慣病も増加の傾向です。
同じ食品に偏らず、様々な栄養素を取り入れることが大切です。
食品の正確な基礎的情報が載っているのが『食品成分表』です。
一般的に使い慣れない言葉で著された食品もあり、初めて手にする方は読みにくく使用しにくいでしょう。
しかし、現在は一般的な呼び名で書かれているものも出版されています。
しかも、可食部100gあたりの栄養素の記載ではなく、現実的に使用される量で著されています。
たとえば、『食パン100g』ではなく、『食パン70g (6枚切り1枚)』。
『みかん100g』のほかに『みかん60g』と、だいたい中1個の大きさの量も載っています。
また、たんぱく質、エネルギー、ビタミン等の食品成分は37項目もありますが、疾患に合わせ、必要な食品成分値だけを掲載しているものもあります。
与えられる情報だけに左右されるのではなく、食品成分表を上手に活用し、自分の食事の過剰摂取や不足、偏りに興味をもたれるのも面白いのでは?そうして、栄養素に対する様々な認識が育っていけば、健康的で豊かな食生活がおくれるのではないでしょうか?
食事療法が大切な疾患としては、糖尿病はもちろんですし、腎臓病も普段の食事が病状を左右する疾患の一つになります。
内科系の疾患は食習慣と深く結びついています。
生活習慣病と言われているのもその為です。
これらの疾患を改善したいと考えるなら、普段の食事を記録してみることにより、現在の食生活の問題点を抽出することから始めてみましょう。
食事記録というと、大変だ…面倒だ…とお考えの方も多いかと思います。
まずは、食べた内容を朝・昼・夕と献立だけでも書いてみましょう。
書いたものを見返すと、油物が重なっていたり、野菜の献立がなかったり…と食材や料理の偏りとか、何かしらは気づくものです。
今度は、どの位食べたのか計量してみましょう。
肉2枚でも、部位や重さ(厚さ)でも成分は違います。
生なのか、調理後なのかでも違ってきます。
魚も煮魚、焼き魚でも重量が大きく変化します。
煮れば、煮汁の水分を吸収し重くなり、焼けば、余分な水分がとんで軽くなります。
できるなら、生の状態(調理前)で計量するのがより正確な栄養価を知ることができます。
では、どの時点で計量した方がよいのでしょう?
計りは1g単位で計量できる、デジタル計りがお勧めです。
正確に計ることがポイントになります。
10g単位の計りだと、かなりの誤差がでてしまいます。
液体のものは、計量カップ、計量スプーンを使用しましょう。
計量スプーンはccでの表示ですので、換算表を(下表参照)使用してgに直しましょう。
成分表もgで計算されています。
皆さんは、計量スプーンの大さじ、小さじをご存知ですか?
一般に市販されている計量スプーンは3ヶセットが1組で、大(15cc)・中(5cc)・小(2.5cc)があります。
お料理のレシピに「計量スプーン中」と記載されているものはひとつもありませんが、この「計量スプーン中」が小さじなのです。
市販食材の包装紙には、必ず成分(栄養価)の表示義務があります。
でも、ご存知でしたか?
消費者の購買意欲を損なわないよう、メーカーさんも努力しています。
糖分入りの飲料水には、砂糖○○g添加とは記載せず、炭水化物○○gで記載してあります。
炭水化物は糖質なのです。
カロリーだけをみるのではなく、このあたりも食事療法をされている方は注意してみましょう。
塩分に関しても同じです。塩分含有が多い商品ほど「ナトリウム」と記載されています。
最近では、塩分相当量で記載してある商品も多くはなってきていますが、「ナトリウム」を食塩に換算する式を使って、gを計算することができます。
ナトリウム量(mg)×2.54÷1000=食塩(g)
調味料 | 重量 (g) | 目安量 | 小さじ1杯の量 (g) | 大さじ1杯の量 (g) |
醤油 | 6 | 小さじ1杯 | 6 | 18 |
減塩醤油 | 12 | 小さじ2杯 | 6 | 18 |
みそ | 8 | 小さじ1と1/3杯 | 6 | 18 |
減塩みそ | 16 | 小さじ2と2/3杯 | 6 | 18 |
食塩 | 1 | 小さじ1/6杯 | 6 | 18 |
ウスターソース | 12 | 小さじ2杯 | 6 | 18 |
中濃ソース | 18 | 小さじ3杯 | 6 | 18 |
マヨネーズ | 50 | 大さじ4杯強 | 4 | 12 |
トマトケチャップ | 30 | 小さじ5杯 | 6 | 18 |
バター | 50 | 大さじ4杯弱 | 4 | 13 |
マーガリン | 80 | 大さじ6杯強 | 4 | 13 |