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低たんぱくのレシピ低たんぱくのレシピ

慢性腎不全の食事療法の特徴

慢性腎不全の食事療法の特徴は、たんぱく質の摂取量を控えながら、エネルギーを十分に摂取することです。
たんぱく質の制限を厳しくすると、今までにご紹介した砂糖と油脂、春雨や葛、片栗粉等のたんぱく質を含まずエネルギーのある食品の利用が多くする必要性があります。
市販されているこれらの食品中心の食事では、甘ったるくなったり、油っぽくなったりしてしまいます。

また、コレステロールや血糖値が高い方に、砂糖や油脂はあまり勧められません。
お食事は一日3回のことで春雨や葛、片栗粉を使ったお料理ばかりでは献立が少なく、飽きてしまいます。
そこで、治療用特殊食品の利用が不可欠になります。

治療用特殊食品の活用

特殊食品はいろいろありますが、種類が多いのは米やご飯です。
その他、パンや麺などの種類も多く、実際患者さんがお買い求めになるのは主食となるご飯やパン、麺が中心です。

たんぱく質といいますと肉や魚、卵に牛乳を思い浮かべる方が多いでしょう。
これらの食品には、確かに多くのたんぱく質が含まれています。
しかし、以外に主食となる米、小麦粉にも多くのたんぱく質が多く含まれています。

  エネルギー たんぱく質
ごはん180g(お茶碗一杯) 302kcal 4.5g
食パン70g(6枚切り1枚) 185kcal 6.5g
ゆでうどん220g(一人前) 231kcal 5.7g
卵60g(Mサイズ一ヶ) 91kcal 7.4g

特に小麦粉製品のパンに、たんぱく質が多いのがわかりますね。

小麦粉製品は、より多くのたんぱく質が含まれています。
様々な特殊食品が売られていますが、主食となるご飯や麺、パンからのたんぱく質の摂取量をひかえるとその分のたんぱく質を肉や魚等の動物性たんぱく質をおかずにまわせます。

なぜ、少ないたんぱく質の摂取量でも動物性たんぱく質の摂取量の割合を多くさせるのか…。
たんぱく質はアミノ酸から構成されており、その組成によってアミノ酸価というものが定められています。
人体の構成のために必要なアミノ酸は20種類程度ありますが、その中でロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、バリン、メチオニン、リジン、スレオニン、ヒスチジンの9種類は体内でつくることができません。
そのため食品からの摂取が不可欠となります。
これらのアミノ酸を必須アミノ酸もしくは不可欠アミノ酸といいます。
この必須アミノ酸がバランス良く含まれている食品のアミノ酸価は高い値となり、これを良質のたんぱく質といいます。
アミノ酸価の高い食品は、肉や魚、卵、牛乳等の動物性食品が多いのです。

たんぱく質の摂取量を制限するため、意外にたんぱく質の多い主食類を特殊食品に置き換えることで、必須アミノ酸を多く含む食品をなるべく多く取り入れることができます。

このように必須アミノ酸の話をすると、よく、患者さんから『ならご飯の量を少なくすれば良いか?』との質問をいただきますが、主食は大切なエネルギー源です。
また、食物繊維やビタミンも含まれているので、量はしっかりと確保することが大切です。

基本は主食中心のバランスの良い食事

現在は、飽食の時代であり、おかず中心の食生活です。
主食のご飯の摂取量が少ない傾向です。
おかずは味付けされているものが多く、また、たんぱく質が多く含まれる食品の利用が多いため、高たんぱくで食塩過剰となりがちです。
健康体でもたんぱく質の過剰摂取は腎臓に負担をかけます。

「低たんぱく食事療法」と申しましてもすべてが厳しい制限ではなく、ほとんどの患者さんは、体格や年齢や活動から求められる必要なたんぱく質摂取と比較すると、2/3程度の制限となっています。
しかし、現在のたんぱく質のおかず中心の食事ですと、制限が1/3にも1/4にもなります。
主食が十分に摂取できないとエネルギーの不足の原因にもなります。
特殊な食事療法ですが、基本は主食中心のバランスの良い食事です。

エネルギーは、三食均一に摂取することが大切ですが、たんぱく質は一食に集中させることが可能です。
特殊食材を使い工夫したメニューにすると、かなりたんぱく質の摂取量が抑えられます。

治療用特殊食品を用いた調理例

今回は、治療用特殊食材と市販されているレトルト食品を組み合わせた調理例をご紹介いたします。

現在、色々な種類のレトルト食品があります。
レトルト食品や冷凍食品等の加工品はパッケージに、エネルギー・たんぱく質・食塩等の栄養成分値の表示があるので、計量や計算の手間が省けます。
また、組み合わせを上手にすることにより、たんぱく質を抑えたメニューにすることができます。

今回のメニュー(調理例1:ドリア、調理例2:肉味噌うどん)は野菜が少ないので、コンビニ等で売っている野菜ジュースをプラスしても良いでしょう。
栄養成分表示で確認すると、『KAGOME野菜生活100』エネルギー68kcal、たんぱく質0.8gです。
気になるのはカリウム値、330mgですが、他で肉や魚を控えているので摂取可能です。
低たんぱく食は特殊な食事療法ですが、ビタミンや食物繊維の摂取も疎かにできません。

また物足りない方は、クロワッサンをプラスしても、たんぱく質が低く抑えられます。
クロワッサン30gでエネルギー134kcal、たんぱく質は2.4g、食塩0.4gです。

食事療法は継続することが大切です。
身近で手軽な食品を利用し、負担にならないような食生活にすることがポイントです。

市販食材を上手に活用しよう

ここに掲載の食材は、皆さんがよくスーパーで目にしているものです。

平成15年より健康増進法に基づき厚生労働省の告示で生鮮食品以外の食材に栄養価表示の指導がされており、熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウムの順で記載されておりますので、成分の把握が安易にできるようになりました。

低たんぱくの食事療法をされている患者さんは、何をどんな風に利用したらよいのか悩んでおられる声を耳にいたします。

特殊食材の使用を勧めたりしますが、値段や味の関係で抵抗のある患者さんも多くいらっしゃいます。
今回は手軽にスーパーで購入できる比較的たんぱく含有の少ない食材を紹介したいと思います。

今回ご紹介させていただいた食材の他にも、たんぱく質含有の少ない食材は沢山ありますので、購入される場合は表示されている成分を確認する習慣をつけましょう。

但し、栄養表示基準の取り扱いについての告示の中に、たんぱく質・脂質・炭水化物については、100g(ml)当たり0.5g未満の場合は0と表示することが出来ると謳ってありますので、気になる場合は原材料の成分を食品成分表で調べてみることをお勧めします。

今回は市販食材の組み合わせを上手にすることで、指示量の範囲内で手軽に手間もかけずに食事療法を長続きさせる提案をさせていただきました。

次回はたんぱく質5.0g含有の食材の使用量を紹介したいと考えております。
例えば、肉類でも部位によりたんぱく質含有量が違うので使用量が変わってきます。

たんぱく質5gって、どのくらい食べられるの?

食事療法をされている患者さんは季節を問わず、献立に頭を悩めているのでしょうね。
たんぱく制限をされている患者さんはいつも食べ物に気を配っていかなければいけません。
どの食材にどのくらいたんぱく質があり、どの位食べられて、どんな風に調理すればよいのか・・

そこで、今回は主菜になる素材についてご紹介いたします。
食材の部位によりたんぱく質含有は異なります。
調理方法によりエネルギー量も変わってきます。下記の一覧表を参考にして、是非食事療法のお役に立ててください。

今回は作り方は一行で紹介させていただきます。
エネルギーの指示により調理方法を選択してください。
エネルギー指示の高い方は揚げ物などを、低い方は蒸し煮やスープなどを作ってみてはいかがでしょうか?

食材紹介

※ いずれもたんぱく質含有5gでの使用量です

献立の組み合わせ

低たんぱく質食事療法を実行していくうえで、まず主食分(ご飯)を差し引いて献立を考えなければいけません。

食材名 使用量 (g) たんぱく質 (g) エネルギー (kcal)
ご飯 100 2.5 168
120 3 202
150 3.75 252
180 4.5 302
200 5 336

ここに掲載しましたように、主食のご飯にもたんぱく質は含有しています。
また、野菜にもたんぱく質は含有していますのでそこも考慮してください。

献立を考えるうえで基本になることは、エネルギーをしっかり摂ることです。
身体の異化亢進を防ぐことが重要になります。
エネルギー100kcal不足すると筋肉が崩壊し1〜2gのたんぱく質を摂った形となります。

少ないたんぱく質で栄養状態を維持していくこともポイントになります。
指示たんぱく質の6割は動物性たんぱく質で摂取することも大切です。

例えば1日30gのたんぱく質の指示の方は18gは肉・魚・卵・乳製品で摂取していくのが基本です。
実際は主食分を指示量から引いても6割のたんぱく質を確保するのは至難の技です。
そこで強い味方として登場するのが、特殊ご飯です。
低たんぱく質米・でん粉米などです。
ここにご紹介する製品は、たんぱく質含有が普通米の1/35・1/25・1/20にたんぱく質が減らしてあるものです。
これらを利用すれば、先程の動物性たんぱく質を6割〜7割は簡単に確保できます。

食材名 使用量 (g) たんぱく質 (g) エネルギー (kcal)
1/20ご飯 (1パック) 180 0.22 300
1/25ご飯 (1パック) 180 0.18 300
1/35ご飯 (1パック) 180 0.13 292

シングルのための低たんぱく献立・フライパンひとつで簡単組み合わせ

さて今回のテーマは単身者の方に、少しでも食事療法が手軽に継続できるように、お助けレシピをご紹介します。
食材はコンビ二で調達でき、包丁使いが苦手な男性にもフライパンや電子レンジがあればOK!のメニューです。

このご時世ですので特殊食材を使用せずに、お財布にも優しく、1日の指示量をクリアできるようにと考えました。

Dr指示量 エネルギー 1800kcal
たんぱく質 40g
食塩 6g

の設定で献立構成をしました。

一人暮らしがキーワードですので、購入した食材を無駄なく使い切るための2日分のお献立です。
写真掲載は1日分(3食)のみですので、2日目分は同じ材料で出来あがりの違うメニューをご紹介します。

また今回、1日目は主食をパン・麺・ご飯と3食変えた献立を、2日目は3食ともご飯でのメニュー展開をしてみました。

低たんぱく食事療法は栄養状態をキープすることが重要です。
一番大切なことは、エネルギーをしっかり摂ることです。
昨年秋に腎不全食事療法研究会があり、そこでも発表させていただいたのですが、身体の筋肉量を保つことがポイントです。
そのためには、少ないたんぱく質でも動物性たんぱく質を上手に取り入れることが大切です。

では、献立の紹介です。

『低たんぱく食でも楽々お弁当作り』

外来で栄養指導をしていると、様々な職業の方のお食事の悩みを伺います。
例えば、「自宅では、低たんぱくのご飯使って頑張っているけど、職場だと外食が多くてね」とか、「トラックの運転業務だから、おにぎりだけしか持っていかない。結局、コンビニで菓子パンを買っちゃう」、あるいは「昼はつい外食してしまう。たんぱく質や塩分の少ない外食ってないの?」、「社食のメニューの表示はエネルギーと塩分はあるんだけど、たんぱく質はないね」、など…。

でもお弁当を持っていければ、もっと上手く食事療法が続けられるのにと思う患者さんがたくさんいらっしゃいます。
そこで今回は、低たんぱく食事療法をされている方・お勤めしながら、治療を続けている方にお勧めしたい手作りお弁当について特集します。

お弁当の条件

お弁当を作るのは基本的に女性が多いのですが、女性も仕事をする時代ですし、ご家族の食事も用意しながら、低たんぱくのお食事にかかりきりになるのはとても大変なことです。
第一に簡単にできるメニュー作りを条件としました。

他には、

  • ● 特殊食材のご飯をメインに使用する
  • ● ご家族の分の分を作りながら、出来るメニューにする
  • ● 冷凍食品や品やレトルト食品など市販のお手軽食品を利用する
     (1食当たりを600kcal・たんぱく質10g・塩分2gで設定する)

などの条件で、5人の管理栄養士がぞれぞれ1食分のお弁当の献立をたてました。
5種類ありますから、月曜日〜金曜日まで1週間分になります。参考にして1週間続けてみてはいかがでしょうか?

月曜日から金曜日まで、食べてみたいメニューはあったでしょうか?
様々なメニューがありましたが、メニュー通りやるも良し、とりかかりやすいメニューを参考にやってみて自分なりにお弁当を作るも良しです。
次にお弁当作りのポイントを掲載しますので、参考になさってください。

お弁当作りのポイント

まずは患者さん向けにアレンジするポイント

低たんぱくのご飯を使う

スーパーには使えそうな食材がたくさんあります。
ほとんどの食品が成分表示されているからです。
1食分ずつのふりかけや冷凍食品・レトルトの肉団子。他にはカレー・ハヤシライス・中華丼のもとなど1パックそのままでは塩分が多くて無理ですが、例えば、レトルトカレーを半分に冷凍のとんかつを1個などという組み合わせてカツカレーのメニューが出来上がり。
そこに茹で野菜のサラダ・市販のゴボウサラダなどを組み合わせてみるとバランスも良いでしょう。

※もっと余裕があれば、週末に材料の小分け(1食分のお肉を小分けにして豚しゃぶのように)したり、手作り食品の冷凍(手作りハンバーグなど)を作って冷凍するのもお勧めです。

計量する

野菜を切る際にはまな板の前にキッチンスケールを置いて、家族の物と一緒に切り、1食分だけ計る。
キャベツともやしのお浸しなら、茹でる鍋に合う手つきザルをスケールにそのまま載せて、切ったキャベツ20g→もやし20gと"0表示"にしてから計る。

※下ごしらえの際に野菜を水に触れるように切る工夫や調理する前に良く水にさらしてカリウムの除去を心がけましょう

調理する

調理は一緒にと言いたいところですが、一緒にすると分量が確認できず、せっかく献立作成から計量までしたのに献立から大幅に違ったカロリー・たんぱく質・塩分の物が出来上がる結果になることが多いです。
小さい鍋やフライパンで作ったり・電子レンジを利用して調理しましょう。

カロリーの調整方法

低たんぱく質のご飯を利用しているとカロリーの調整はご飯の量で調整することができます。

例えば)1食分を600kcalから500kcalにする場合マイナス100kcalたんぱく質調整ごはんの分量・1食180g(300kcal)−1食150g(250kcal)=50kcal残りの50kcalを油やマヨネーズ・ドレッシングなどの使用を調整すると良いでしょう。

ご家族向けにアレンジする場合

  • 普通のご飯を使う。

    お弁当のおかずの量を増やす。
    LPDは低たんぱくなのでご家族には少ないですね。そこで1品おかずを増やしたり、増量してみましょう。
    (ミートボールの数を増やす。卵焼き1品を追加するなど)

    味付けは意外に1食2gでも味はありますので、できれば、そのままの方がお勧めです。
    物足りない場合は、調味料の小パックをつけるなどしてみましょう。

終わりに

低たんぱく食事療法はいかに毎日続けるかがポイントになります。
どうすれば、楽に続けられるか、患者さんのライフスタイルに合ったご提案をしたいと願っております。
今回の特集もお役にたてれば幸いです。
とにかく、やってみることが大切です。お弁当生活を始めてみませんか?